米Microsoftは11月10日,クライアント向けの仮想マシン・ソフト「Virtual PC 2004」の開発を完了したと発表した。この製品は,Microsoftが今年買収した米Connectixの技術をベースとしたものである。様々な使い方が可能なソフトだが,MicrosoftはWindowsのバージョンアップに対する「セーフティ・ネット」としての利用法を重視している。Windows XPなど新しいバージョンのWindowsでは,古いバージョンのWindowsで利用していたアプリケーションが動かなくなる可能性がある。このようなときVirtual PC上に旧バージョンのWindows環境を用意すれば,引き続きそのアプリケーションを利用できる。1台のPCで複数の仮想マシン環境を動かせるので,企業ユーザーはソフトウエアをより効率的に移行できる。

 「企業カスタマによると,システムの移行を考えたとき,仮想マシンはきわめて重要なテクノロジだという。Microsoft Virtual PCを利用することで,企業はWindows XPの信頼性やセキュリティ,生産性といったメリットを享受しつつ,レガシー・アプリケーションも利用できるようになる」(MicrosoftのWindows担当コーポレート副社長 Rob Short氏)。

 従来のVirtual PC製品は一部のユーザーの間で隠れた人気商品だった。例えば,プログラマやWeb開発者は,開発したものをWindowsやInternet Explorerの様々なバージョンでテストするために利用していた。ヘルプ・デスクやサポート業務の従事者,IT管理者などにも支持を得ていた。新しいバージョンのLinuxやFreeBSDのテストに興味を持つ一部のパワー・ユーザーにも利用されていた。

 ところが,MicrosoftはこっそりとMicrosoft以外のOSのサポートをキャンセルした。このときはユーザーたちからMicrosoftが競合製品に不当な圧力をかけていると不満の声が上がった。しかし実際のところ,Virtual PC 2004は以前のバージョンと同様に,Linuxを含めたあらゆるx86ベースのOSを実行できるものになるようだ。違いは,Linuxなどのインストール方法や,Virtual PC上のLinuxで問題が起こった場合のサポートをMicrosoftが提供しないという点だ。Microsoftによると,Virtual PCは古いバージョンのOSを動作させることに特化した製品であり,現行版のOSを走らせるためのものではないという。

 価格はずっと安くなった。Connectixは229ドルでこの製品を販売していたが,Microsoftは小売価格を129ドルに下げた。さらに2003年中にはこの製品をMSDN(マイクロソフト・デベロッパ・ネットワーク)のカスタマにも提供するという。従来のConnectix版Virtual PCのユーザーに対しての無償アップグレード・サービスも行う。

 なお,この製品とは別に,Microsoftはサーバー版のVirtual PCである「Virtual Server」や,Mac OS用のデスクトップ版も開発している。Virtual Serverは1台のサーバー・システム上で複数のレガシー・システムを走らせることができる製品で,2004年前半に登場予定である。

(Paul Thurrott)

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