■静岡県は「総務事務センター」を2002年4月に設置した。ここで約2000人が勤務する県庁(本庁)の総務事務のいくつかを集中的に処理する。さらに、ここでの業務の一部は、アウトソーシングも行っている。静岡県では、今回の集中化とアウトソーシングによって、人員を再配置して職員の生産性アップを狙う。総務事務の集中化とアウトソーシングは全国でも初めての取り組みだ。(文:黒田隆明=編集部)


 「2つの点で全国初の試みではないかと思います」−−こう語るのは、静岡県総務部行政改革室室長の杉山純氏である。“2つの点”とは、県庁の総務事務を一部署に集中化したこと、そして集中化した総務事務の一部をアウトソーシングしたことを指す。

 静岡県は、約2000人が勤務する静岡県庁本庁の総務事務のうち、旅費の支給、非常勤職員の報酬などについて、2002年4月に新設した「総務事務センター」で集中処理を始めた。さらに、ここでの業務の一部を大手人材派遣業者であるパソナと委託契約を結び、アウトソーシングしている。来年度(2003年4月)からは、給与事務も総務事務センターでまとめて処理する予定だ。

 従来、これらの業務は各部局(全11部局)にある「主管室」で行っていた。それを1カ所に集中させたのである。現在、総務事務センターの職員は9人、うち3人が外注スタッフである。この3人のスタッフも県庁の総務事務センターに出勤する。業務委託のコストは年間約1200万円。委託した業務内容は、「法令で県の職員でなければ扱えない業務もあるため、全体の中から一部の業務を切り出してお願いしている」(静岡県総務部行政改革室主査の八木敏裕氏)というものだ。今回は、こうして切り出した“職員以外でもできる業務”すべてをアウトソーシングしているわけではなく、作業量を計算した上で全11部局のうち6部局の分について業務を委託している。来年度以降、外注スタッフを増やすかどうかは今後検討する。


■各部局から総務事務センターへ移管された業務
対象となる事務
  ●旅費の支給
●非常勤職員報酬、臨時職員賃金、委員・講師等の報酬・報償
●非常勤職員・臨時職員に係る社会保険等及び所得税の処理
●委員・講師等に係る所得税の処理
●給与(2003年度から移行予定)

 全国初という総務事務の集中化とアウトソーシングは、最初からすべてがうまく回ったわけではない。導入初期においては、かなり混乱したようだ。

 今回の静岡県の取り組みでは、集中化とアウトソーシングだけでなく、同時に新しい旅費システムの稼働も2002年4月からスタートさせた。つまり3つの“初めてのこと”が、いきなりまとめて始まったのである。県職員、総務事務センター両者ともに、不手際による混乱が起こっても不思議のない状況だ。出納局では急きょ、当初の予定にはなかったヘルプデスク要員の外注スタッフを1人追加、総務事務センターに常駐してもらい、職員からの問い合わせに対応した。

 ところが、ヘルプデスクは“特効薬”とはならなかった。職員から寄せられる質問には、これまで各部局でのローカル・ルールで処理していた業務に関するものも少なくなかった。当然、こうしたケースはマニュアルには記載されていない。これでは外注スタッフでは対応しきれないのは当然である。結局、ローカル・ルールで処理していた業務に関する問い合わせについては、ヘルプデスク経由で元の担当者に確認するしかなく、かえって非効率になってしまったのである。

 こうした初期の混乱は、“初めてのこと”が重なったという事情を考えれば、ある程度は仕方のない面もあるだろう。静岡県出納局集中化推進室主査の吉田光廣氏によると、「新システムに職員が慣れてきて、事務処理量も減る8月頃からようやく落ち着いてきました」と語る。9月以降はヘルプデスクの外注スタッフとの契約も解除し、現在では大きな問題もなく仕組みが回っているようだ。