NTTドコモは2月28日,4月30日でPHSサービスの新規申し込みの受け付けを停止すると正式に発表した。完全なサービス終了時期については明言を避けたが,会見した中村維夫社長は「今後2年程度かけて携帯電話サービスへの移行を促していく」と述べた(写真)。

 NTTドコモはPHSサービスを終了する理由として,カード型PHS端末の競争力低下と,FOMAへの事業集中を挙げた。PHSについて中村社長は,「ADSL(asymmetric digital subscriber line)サービスなどの普及から,屋内で利用するユーザーがそちらに移行してしまった」と説明。「インフラ投資をして高速化し,再度PHSの競争力強化を図る選択肢もあったが,膨大な投資が必要になる。現状では経営的に困難だった」(中村社長)と明かした。

 その一方でNTTドコモは,PHSのデータ通信サービスを利用するユーザーの需要にこたえるためにFOMA向けのデータ通信プランを拡充していくことを明らかにした。「6月からはFOMAでより定額制に近いプランなども用意し,PHSの代替サービスとしていきたい」(中村社長)。

 現在PHSの契約回線数は約135万。利用中のユーザーには,4月1日から携帯電話への移行を促す各種特典を用意する予定。特典については今後発表する。契約回線のうち,法人ユーザーの回線数は約60万ある。これらのユーザーについても数年かけて,携帯電話を使う内線電話システム「PASSAGE DUPLE」などへの移行を促していくとしている。

 今回のPHSサービス終了に伴い,2005年3月期(2004年4月~2005年3月)の連結業績予想を修正した。営業利益は従来予想の8300億円から7.3%減の7690億円,税引前利益は1兆3160万円から4.6%減の1兆2550万円に修正。当期利益も従来予想の7580億円から4.7%減の7220億円に下方修正した。

 1995年7月に登場したPHSサービスは,NTTパーソナル通信網グループ(当時),DDIポケット電話グループ(現ウィルコム),アステル・グループが参入。平日昼間の市内通話が3分40円と,当時としては画期的な低料金でサービスを始めた。サービス開始後の2年余りで合計700万以上の加入者を獲得し,NTTパーソナルも最盛期には97年9月に約212万契約を誇った。だが,その後,携帯電話の急速な料金値下げによって競争力が低下。ユーザー数の減少傾向が続いた。NTTパーソナル通信網グループも98年12月にNTTドコモ・グループに営業譲渡したものの,一度も黒字化できなかった。NTTドコモが営業譲渡を受けてからの累積赤字は4400億円となっている。

(蛯谷 敏=日経コミュニケーション