ここまで読まれた,ブラウザに詳しい方は「タブ・ブラウザもボランティア開発も,Mozillaの専売特許ではない」と思われたかもしれない。まさにその通りで,Internet Explorerのコアを利用した多くのタブ・ブラウザが,ボランティアの手により開発されている。例えば,日本人の手によるSleipnirは,非常に完成度の高いタブ・ブラウザである。

 Mozillaでも,同様にそのコアを利用したWebブラウザが別のグループにより開発されている。日本人グループにより開発されている風博士は,RSSリーダーとの統合を目指すプロジェクトだ。

 Firefox/Mozilla自体もプラグインにより機能を拡張し,テーマにより外観をカスタマイズできるようになっている。プラグインにはマウス・ジェスチャや画像拡大,Googleメールのチェック,天気や辞書ツールバーなどなど,100近いモジュールが登録されている。

25万ドルを集めた草の根マーケティング

 Firefoxにはボランティアによるマーケティング・プロジェクトもある。このプロジェクトは,SpreadFirefox.com(Firefoxを広めよう.com)というサイトで行われている。Firefoxの広告を米大手新聞New York Timesに全面広告として掲載するプロジェクトには,25万ドル(約2600万円)が集まったという。

 Marketing Ideasというフォーラムでは,Firefoxを広めるためのグッズやソフトウエアなどのアイデアが話し合われ,いくつものアイデアが実現に向け動き出している。マーケティングというより,“お祭り騒ぎ”に近いかもしれない。実際にFirefoxの正式リリースを祝う100以上のパーティが開催されたという。日本でも,ユーザー・コミュニティ「もじら組」がイベントや情報提供などを行ってきた。

 もちろん,Firefoxが普及するためにはまだいくつものハードルがある。企業情報システムで問題になるのはInternet Explorerとの互換性だろう。Mozilla/FirefoxとInternet Explorerには,JavaScriptやCSSなどに細かい挙動の違いがある。すでにInternet Exlplorerを前提に構築しているイントラネット・アプリケーションの中には同じように動かないものも出てくる。Mozilla Foundationの技術部門のChris Hofmann氏も「MozillaやFirefoxを導入したユーザーの中にも,非互換性のためにInternet Explorerも継続して使用せざるを得ないユーザーもいる」と認める。そして「Mozilla FoundationとしてInternet Explorerとの非互換性に対処していく」と語る(関連記事)。

 また,開発に貢献するエンジニアも決して余っているわけではない。特に国際化を行うエンジニアは不足しており,Mozilla Japanでは,現在協力者を募集している。

 Firefoxがこれだけの支援を集めている理由は,Webブラウザという,ユーザーに身近なソフトウエアであることだけではないように思える。オープンソースという言葉や戦略が認知されるようになったのは,NetscapeがNavigatorのソース・コードを公開したことに始まる。ある意味でLinux以上にオープンソースを象徴するソフトウエアがMozillaとFirefoxなのである。

(高橋 信頼=IT Pro)