小中学生の子どもを持つお母さん,お父さん。子どもにどのようにインターネットを使わせていますか。パソコンがウイルスに感染する,詐欺に会う,事件に巻き込まれる,掲示板やホームページで他人と争いになる,など,心配なことがたくさんあると思います。

 しかし,ではどうすればいいのか。「それをきちんと教える自信がない」という方も多いかもしれません。さらに,そのようなことは学校でもほとんど教えられていません。このままでは,子どもたちが何も知らないままインターネットを使い続け,トラブルに巻き込まれたり不愉快な思いをしたりしてしまうのではないか・・・

 そのようなことを考え,昨年から企画を温めていたのですが,ようやく書籍を発行することができました。「親と子のインターネット&ケータイ安心教室」という本です。宣伝くさくて恐縮ですが,ご興味がありましたら書店でご覧ください。インターネットにはどのような危険があり,どういう点に気をつけたらいいのか,ということを具体例を挙げながら解説しています。

一般的なガイドラインが作れない

 ただ,「こういう風に使わせればいい」という即効性のあるガイドラインが載っているわけではありません。一般論として有効なガイドラインはうまく作れないのです。

 その理由の一つは,子どもの年齢や個性によって,運用を変える必要があることです。掲示板への書き込み,怪しいサイトへのアクセス,インターネット・ショッピング,自作のWebページ作りなど,危なさそうなことを,小学校中学年ぐらいまでなら「全面禁止」でいいかもしれません。

 しかし,大人になるまでずっと禁止していたのでは,危険に対処する能力が子ども自身の身に付きませんし,小学校高学年や中学生ともなると,「インターネットでやりたいこと」が子どもの中で芽生えてきます。子どもの対処能力に応じて,少しずつやっていいことを増やしていくべきでしょう。

 したがって「インターネットの使わせ方」は個々の家庭ごとに決めていかなければならないのです。結局,この書籍では「それを親子で話し合って下さい」という結論にとどめ,そのきっかけになりそうな話題を提供することに努めました。

子どもと面と向かって話し合えますか

 実は一番難しいのが,この「話し合う」ことかもしれません。あなたの家庭で実際にそのようなことができそうですか?

 本には「ぜひ話し合いましょう」などとかっこいいことが書いてあるわけですが,我が家を振り返ると,子どもと面と向かい,教えたり話し合ったりすることがきちんとできるだろうか,という疑問がわいてきます。

 普段そういうことをしていないで急にやろうとしても,言い出しにくかったり,照れくさかったりするかもしれません。また,家族に何かを教えようとするときは,他人よりも不親切だったり,すぐに怒ってしまったりしがちではないでしょうか。

 しかし,それを避けて通ることはできません。インターネットに関しては「以心伝心,態度で示す」ことができないのです。一般的な社会のルールやモラルの場合,子どもに面と向かって教えることは少ないかもしれません。日々,親の行動を子どもが見ること,子どもの行動に対してその都度親が注意することで,伝えていることが多いはずです。

 ところがインターネットは,どういうことをやっているのかが周りからわかりません。親が使い方の規範を示すことがしにくいし,子どもがどういう使い方をしているかをそばにいるだけでは知ることができないのです。このため,子どもがトラブルに巻き込まれても,気づくのが遅れがちです。心配なことが起こったときに,子どもが親に相談しやすい雰囲気があるかどうか,これは大切なことです。

 普段「子どもとの会話が少ないなあ」と感じている方は,逆にいい機会と言えるでしょう。「いつもどんなサイトを見ている? 掲示板に書き込みをしたことはある? インターネットについて,注意しておくことがあるからちょっと話を聞いて」と,思い切って子どもに話しかけてみませんか。

(柳田 俊彦=出版局編集第一部)