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 3月2日に公開した「ソフトバンクの451万顧客情報漏えいにユーザーは寛容か」では,IT Proに会員登録をされている読者の方を対象にアンケート調査を実施した。3月8日までの7日間で,Yahoo! BBユーザー1230人を含む3552人もの方から回答をいただいた。さらに回答者のうち約半数は,自由記入欄に意見を書き込むという大きな反響。改めて,この問題に対する読者の関心の高さを感じた。回答をいただいた読者の皆様,ありがとうございました。

「他社サービスでも漏えいしない保証がない」

 まずアンケートでは,「あなたがYahoo! BBユーザーだったとしたら,今回の情報漏えいを機に解約しますか」と問いかけた。全回答者(Yahoo! BBユーザー,他のADSLサービスのユーザー,ADSLを利用していない回答者,を含む)の意見をまとめると,「解約する」が28.1%に上った。「解約しない」という答えも同程度の24.5%だった(図1)。

図1
図1●個人情報漏えいに対する全回答者の反応
Yahoo! BBユーザーだったとしたら,サービスを解約するかどうかを聞いた。

 一方,Yahoo! BBユーザーの回答に絞って見ると,結果は大きく変わってくる(図2)。「解約する」は図1(全回答)の4分の1程度の7.2%となる。逆に「解約しない」は,図1よりも大幅に多い46.9%になった。Yahoo! BBのユーザーは,個人情報漏えいをそれほど深刻に受け止めていないのだろうか。

図2
図2●個人漏えいに対するYahoo! BBユーザーの反応
Yahoo! BBユーザーに,情報漏えいを機に解約するかどうかを聞いた。

 自由記入欄を見ると,Yahoo! BBユーザーの本音が見えてくる。目立ったのは,「既に漏えいした個人情報は取り戻せないし,今さら解約しても仕方がない」「別の通信事業者に乗り換えても,その通信事業者がきちんと個人情報を管理しているか分からない」という声である。461万の個人情報を漏えいしたソフトバンクBBの管理体制は甘かったのは確かだが,他のプロバイダで個人情報が漏えいしないという保証はない。

 中には,「Yahoo! BBには,セキュリティの高さを期待していたわけではない。ADSLやIP電話の料金が安いことを評価しているので解約しない」という声もあった。こうしたユーザーがいることも,解約者が少ない理由のようだ。

「解約したいが,実際はしない」は4割を占める

 全回答とYahoo! BBユーザーに共通するのは,「解約したいが,諸般の事情(手続きが煩雑,など)で実際には解約しない」と答えたユーザーが4割もいたことである。図2に示したように,Yahoo! BBユーザーの41.5%を占める。

 「解約する」との回答はYahoo! BBユーザーの7.2%にとどまったが,この41.5%という数字を見ると,「顧客情報漏えいにユーザーが寛容だった」とは言えない。ADSLのような通信サービスは,一度加入したら乗り換えしにくい,という事情が明らかになった。3月2日に公開した記者の眼でも書いたことだが,「乗り換えにくい通信サービスを提供しているからこそ,通信事業者はセキュリティ確保や品質維持を徹底する責任がある」ことを改めて感じさせられた。

 3月2日の記事では,ADSLの解約や加入手続きに手間や時間がかかること,加入者同士の通話が使い放題になるIP電話「BBフォン」を使っている場合は通話相手がいるため解約しにくいといった点を指摘した。

 自由記入欄でも同様の意見が寄せられた。「切り替えの手間や費用がかかるため,解約していない」「親戚にもBBフォンを入れて,電話代を月1万5000円節約できたので,乗り換えは現実的ではない」などの声が集まった。また,他社の提供エリアになっていないため,乗り換えようにも選択肢がないという指摘もあった。

 一方で,「他社サービスへの乗り換え費用はソフトバンクBBが負担すべきだ」「料金を割り引くなど乗り換えキャンペーンを他の通信事業者に実施してほしい」と,費用負担が軽くなれば乗り換えに前向きなユーザーもいた。

「Yahoo! JAPAN IDを変更をしてほしい」

 アンケートでは,ソフトバンクBBのユーザー対応についても聞いた。ソフトバンクBBは,個人情報漏えいのお詫びとして500円の金券を郵送。漏えいした情報の一つであるメール・アドレスは,無料で変更できるようにした。この対応についてのYahoo! BBユーザーの評価は,「適切だった」が12.4%,「十分ではないが仕方がない」は41.5%となった。「不満」としたのは,43.4%と多い。

図3
図3●ソフトバンクBBのお詫び対応に関するYahoo! BBユーザーの評価
500円の金券送付やメール・アドレスの無料変更などの対応について聞いた。

 自由記入欄に書かれた不満の理由で目立ったのは,「Yahoo! JAPAN IDを変更できない」こと。今回漏えいした情報の中には,Yahoo! JAPAN IDが含まれている。これは,Yahoo!オークションなどでユーザーが利用するID。ある読者は,「オークションでの売買履歴は重要なプライバシー情報。名前や住所と一緒にYahoo! JAPAN IDが漏えいしているのは怖い」と言う。

 ソフトバンクBBは,「Yahoo! JAPAN IDの無料変更については,実施するかどうかや時期も含めて検討中」と言う。Yahoo! JAPAN IDの変更は要望が多く,ユーザーの不安も大きい。ソフトバンクBBは無料変更に対応すべきではないだろうか。

(中川 ヒロミ=日経コミュニケーション)

■3月22日号の日経コミュニケーションでは,アンケート結果を含めたソフトバンクBBの個人情報漏えいに関する続報記事を掲載する予定です。