Visual Basic(バージョン6.0まで)のプログラマは,いま何をしているのか──最近,日経ソフトウエアの編集部で話題になっているテーマの一つだ。マイクロソフトの開発ツールVisual Studio .NET日本語版が出荷開始されてから1年が経過した。その間,Visual BasicユーザーはやはりVisual Basic .NETに移行したのだろうか? それともかほかの言語や開発ツールへと移ったのか? そもそもVisual Studio .NETは普及しているのか?

VBユーザーが徐々に減っている?

 日経ソフトウエアは,主に初級/中級プログラマ向けのプログラミング情報誌である。読者評価の高い記事を目指すうえで,読者がどんな言語や開発ツールを利用しているのかは常に気になる。そのため毎号読者へのアンケート調査を行っており,その一つに「あなたはどのプログラミング言語/ツールを使っていますか」という質問がある。答えは,10以上のメジャーな言語/ツールから選択(複数回答可)していただくようになっている。

 それによると,最も多く利用されているのはVisual Basicであり,それは創刊時(1998年7月号)から現在まで変わっていない。Windowsユーザーがほとんどで,かつ初級者/中級者が多いとすれば当然の結果と言えるだろう。

 しかし,その割合には変化が起きている。創刊当初コンスタントに60%を超えていた値が現在50%前後へと徐々に減っているのだ。選択項目としてVisual Basic 6.0以前とVisual Basic .NETを分けていないので,2002年3月以降はどちらのユーザーも含まれているはずだが,それでも減っているのだ。もちろん一部の読者のアンケート結果なので現状を正確に反映しているとは言えないが,少なくとも弊誌の読者では5年間の大きな傾向としてVisual Basicユーザーが減っているということは間違いない。

 その理由として,(1)Webアプリケーション開発の機会が増え,JavaやPerl,PHPなどの言語がメインになった,(2)最初からJavaなどでプログラミングを始めた,(3)Visual Basicを“卒業”して,Visual C++やDelphiなどに移行した──などが考えられる。特に(1)(2)の要因は大きいと考えられ,実際,読者のJavaユーザーの割合は当初10%前後で推移していたが,2001年ごろから増え始め現在25%から30%の間にある。また,(2)(3)は補完の関係にあり,以前ならVisual Basicを卒業する人があっても,また新しく“Visual Basic新入生”が入ってきて全体の割合は変わらなかったのだが,今は新入生の数が少なくなったというわけだ。

 こうした変化に合わせて,弊誌ではJavaやPHPに関する記事を増やして,読者のニーズに応えてきた。特に最近では,PHP,Apache,MySQLといったオープンソースのツールを使ったアプリケーション開発の記事に人気がある。不況を反映して,より安く(本当に安いかどうかは疑問だが)アプリケーションを構築したいというユーザーが増えているのだろう。

 しかし,減ったとはいえ,いまだ50%を占めるVisual Basicユーザーは重要な読者である。ただ,彼らが今必要としているのは,Visual Basic 6.0のテクニックなのか,Visual Basic .NETの情報なのか,あるいはそれ以外なのか,を見極めるのが難しい状況だ。それが冒頭で述べた疑問につながっている。宣伝になるが,2003年7月号から6.0と.NETの両方のユーザーが読めるVisual Basicの新連載を始める予定だ。それを通して,読者ニーズを把握したいと考えている。

次期OfficeではVBAが使えるが

 もう一つ,気になっていることがある。それはOffice製品に搭載されているプログラミング言語VBA(Visual Basic for Applications)が今後どうなるかである。弊誌では,Visual Basicの次にVBAを利用している読者が多い。VBAがいつまでサポートされるかは重要な問題だ。

 現在ベータ版が配布されている次期バージョンの「Microsoft Office System」では,VBAが搭載されている。しかし,Excel(4.0まで)のマクロが,5.0から互換性のないVBAに変わったように,VBAもいずれ .NET向けに変更されるに違いない。

 Officeに“System”と名付けたことから分かるように,マイクロソフトはアプリケーションとしてのOfficeから,プラットフォームとしてのOfficeに変革する意向だ。つまり,将来的にOfficeは,.NETで動作するWebサービスと連携するクライアント・プラットフォームになると予想される。その時,VBAはお役ご免となり,Visual Basic .NETまたはVisual C#と同仕様の言語に変わるだろう。

 一時期“VSA(Visual Studio for Applications)というものに変わるのでは”と騒がれたが,VSAはVBAの後継ではなかった。これはOffice Systemの発売後,Visual Studio .NETのアドイン・ソフト「Visual Studio Tools for Office」として提供されるようだ。このアドインを組み込むと,Visual Studio .NETから新Officeを使ったアプリケーションを開発できるようになるという。

 したがって,VBAは少なくとも次期バージョンまでは確実に残ると予想される。しかし,VBAプログラマはいつハシゴをはずされてもいいように,準備しておく必要があるだろう。移行期間のうちに,少しずつでも .NETを理解しなければいけない。

 今のところマイクロソフトの思惑通りには,Visual Studio .NETへの移行は進んでいないようだ。例えば,Visual C#を使っている読者は,1年たった今でも10%を大きく超えることがない。開発環境があっても実行環境(.NET FrameworkがインストールされたWindows)が整っていない現状ではそれも当然だろう。特に弊誌の場合,ソフト開発を職業とするプロフェッショナルではないプログラマ(ほかの仕事のかたわらプログラミングをする方)が多いので,Visual Studio .NETをまだ購入していない可能性も高い。

 そうした現状に危機感を感じたのか,マイクロソフトはキャンペーンを開始した。すなわち,今Visual Studio .NETを購入すれば2万円をキャッシュ・バックするうえに,2003年中に出荷開始予定の次バージョン「Visual Studio .NET Professional Version 2003」を無償提供するという(すでに購入済みのユーザーにも無償提供する。詳細はマイクロソフトのWebサイトを参照)。

 マイクロソフトが新版の開発ツールを既存ユーザーに無償で提供するというのは前例がない。今年は,.NET Frameworkが搭載された最初のOS「Windows Server 2003」が登場することもあり,.NET普及に本腰を入れようという腹づもりのようだ。この1年間,様子見を続けていたプログラマを喚起することができるか,ほかへ流出したプログラマを呼び戻すことができるか,非常に注目される。

(道本 健二=日経ソフトウエア副編集長)

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記事掲載当初,読者の皆様に以下のようなアンケートをお願いしました。
結果を,こちらのページで発表しておりますので,どうぞご覧ください。

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