米Microsoftは米Verizon Communicationsや米Akamai Technologiesと提携し、AzureのCDN(Content Delivery Network)サービス「Azure CDN」を提供している。Azure CDNは、Azure VMのようなAzureリソースと同様に扱えて、Azureポータルからすぐ利用を始められる。Azureポータルで操作できるが、REST APIを備えておりC#やNode.jsによる制御も可能だ。

 特徴的なのは、Verizon、Akamai、Microsoftからネットワークを選ぶことである。Verizonだけ機能に差のある「Standard Verizon」「Premium Verizon」の2プランがあり、「Standard Microsoft」「Standard Akamai」と合わせて四つのプランから選択する。

 四つのプランとも、CDNの標準的な機能はカバーしている(表1)。大きなサイズのデータの分割キャッシュ、動画の断片的なキャッシュ、Traffic ManagerやApplication Gatewayと組み合わせたグローバル負荷分散、クエリー文字列(URLの末尾に?を先頭に置いた文字列)によるキャッシュ動作の制御、HTTP/2のサポート、デフォルトでのHTTPSサポート、カスタムドメインの設定、DDoS対策、国単位での配信制限、診断ログの出力といった具合だ。

表1 Azure CDNの機能
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 このうちグローバル負荷分散については、2018年9月に「Azure Front Door Service」というAzure CDNをベースとした新サービスのプレビュー提供を開始している。

 四つのプランの特徴を紹介する。

 ■Standard Microsoft

 Standard Microsoftは、Microsoftのグローバルネットワークを利用したCDNである。一般提供になったのは2018年9月という新しいサービスだ。

 このプランについては、Microsoftがネットワーク構成を公表している。2018年9月時点で、57カ国に64の「エッジサーバー」と16の「リージョナルキャッシュ」を配置している(図1)。エッジサーバーとは、ユーザーからのリクエストを直接受け付けてコンテンツを配信するサーバーのこと。リージョナルキャッシュは、このエッジサーバーと、コンテンツの配信元になる「オリジン」の中間に配置するキャッシュサーバーだ。エッジサーバーより大きなキャッシュ容量を持つ。

図1 Standard Microsoftのエッジサーバーとリージョナルキャッシュ
世界57カ国に、16のリージョナルキャッシュ、64のエッジサーバーを展開している
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 このプランのみ、独自の証明書を用いてHTTPSを有効化できる。逆に、動的生成コンテンツ配信の最適化、有効期限のようなキャッシュ規則設定の機能は備えていない。

 ■Standard Akamai

 Standard Akamaiは、動的生成コンテンツの配信を最適化する二つの特徴的な機能を備える。ネットワーク帯域が狭いユーザーに対してJPEG圧縮などを行う「アダプティブ画像圧縮」、クライアントがHTMLを読み込んでいるときにそのページに含まれる画像などをオリジンから取得しておく「オブジェクトのプリフェッチ」である。一方、HTTPSのカスタムドメインは利用できない。

 ■Standard/Premium Verizon

 最も多機能なのがVerizonのプランだ。Standard版とPremium版があり、後者のほうが機能が多い。

 Standard版とPremium版とも、あらかじめ手動でコンテンツをキャッシュさせることができる。初回リクエスト時にオリジンからファイルを取得する待ち時間が無いので、テレビ番組での紹介などでアクセスが急増するようなケースで有用だ。

 レポート機能も充実している。帯域幅、転送データ、キャッシュの情報、ヒット率といったレポートを表示するのに加え、Premium版では国、州、県といった地理的粒度、時間帯、ファイルの種類、ブラウザーの種類といった軸ごとに、リクエスト件数や帯域幅などを表示する。

 これら四つのプランはどのように選べばよいのか。後述するが、3社のStandard版は同一料金である。そのため、機能と性能で選べばよい。

 機能面で優位なのはVerizonである。ずばり言うと、静的なWebサイトを構築する場合は、Standard Verizonが第一選択肢になる。レポート機能を重視する場合は、Premium Verizonを選ぶ。

 性能面でも、検証で後述するが、Verizonは優れている。ただし、動画ファイルのような大きなサイズのコンテンツ配信では、従来Akamaiの評価が高い。実際に、筆者らが携わったソーシャルゲームの開発では、告知用のHTML、画像、3Dモデルなどの大きなコンテンツをAzureから配信することになり、検討の結果、Standard Akamaiを選定した。

 Standard Microsoftについては、ワールドワイドのエッジサーバー拠点の多さが強みといえる。これを生かした静的コンテンツ配信で有用だ。

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