AWSの仮想マシンサービスAmazon EC2。AWSの中でも基本的なサービスの一つであり、それだけに枯れていると思う人も多い。だが実際には、大幅なアップデートが続いている。

 本稿では、2017年以降のEC2の重要なアップデートをピックアップし解説と検証を行う。

 最初に、主要な新しいインスタンスタイプを解説。さらに、料金体系の変更、そのほかの重要なアップデートを取り上げる。

新基盤Nitroで実現したC5、M5

 2017年以降に投入されたインスタンスタイプとして特に注目したいのは、コンピューティング最適化のC5インスタンスと、汎用のM5インスタンスだ。

 最大でC5は76vCPU、M5は96vCPUを搭載した大きいインスタンスサイズを用意したのに加え、ネットワーク帯域幅を拡張。さらに、SSDの新しい接続規格NVM Express(NVMe)によるEBSとの接続を可能にした。

 C5とM5は旧世代のC4.C3、M4.M3より性能が高いうえに安価だ(表1)。2018年1月時点で東京リージョンでは提供されていないが、利用可能になったら、検討する価値が高い。

表1 最新のM5、C5は旧世代インスタンスより安い
米バージニア北部リージョンのオンデマンドインスタンスの料金(2018年1月時点)
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 C5とM5はどちらも、EC2の新しい基盤「Nitro System」で実現している。AWSはこの新基盤で、一般にハイパーバイザーが担う処理を徹底的にカスタムASICにオフロード。そのうえで、KVMベースの極めて軽量なハイパーバイザーを独自開発し導入した。

 これによりハイパーバイザーのオーバーヘッドをゼロに近づけ、物理環境と同等の仮想マシン性能を実現。それに加えて、ハイパーバイザーを使わないベアメタルインスタンス「i3.metal」の提供も始めた。このインスタンスも、Nitro System上に展開される。

 クラウドのベアメタルインスタンスといってもピンとこないかもしれないが、vCPU(仮想CPU)での利用を認めない、あるいはvCPUで使うと高額になるライセンスのソフトウエアが利用できる。これまでAWSに移行できなかったシステムも、i3.metalによって稼働できるようになる可能性がある。

 i3.metalは海外リージョンでプレビュー提供されているが、東京リージョンではまだ利用できない。

 特定用途の新インスタンスも追加されている。筆頭は米NVIDIAの最新のGPU「Tesla V100」を搭載したP3インスタンスだ。従来のP2インスタンスは2世代前のGPU「Tesla K80」なので、P3インスタンスによって深層学習の実行環境としての処理能力が大きく高まった。

 シーケンシャルアクセスに最適化したHDDがCPU・メモリーと同一のホストにあるH1インスタンスも投入された。HDDへの高速アクセスができる点で注目に値する。

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