今回から音声ユーザーインタフェース(VUI)の設計方法を複数回に分けて解説していく。最初にユーザーインタフェースとは何かについて考察し、VUI設計全体の流れを示す。そのうえで、VUIの設計方法に入っていこう。

 まず、ユーザーインタフェース(UI)とは何かを考察する。

 PCに文字を打ち込むキーボードも、照明器具のリモコンもUIである。アナログなUIを考えると、自転車のタイヤを回転させるペダルもUIだ。

 これらに共通するのは、利用者が操作する「入力」と、入力からのフィードバックを受けた情報を反映する「出力」から成っていること。UIとは、利用者からの入力を受けたフィードバックを出力するための"仲介者”と考えることができる。

 近年よく耳にするユーザーエクスペリエンス(UX)との違いは、UIとは何かを達成するための手段(キーボードは文字を入力して画面に表示するための手段、照明のリモコンはボタンを押して照明を付けたり消したりする手段)で、UXはUIによってもたらされる体験である。

 UIが分かったところで、VUIとはどういったものかを考えてみる。英単語の意味からすると、音声によるインタフェースであり、声でコンピュータやデバイスを操作できるようにするのがVUIということになる。

 では、なぜ声で操作するのか。理由は大きく二つある。

 一つは、人間のコミュニケーションでは、声を使うのが最も自然と考えられるからだ。

 テレビのリモコンやPCのキーボード、電子レンジのタイマーなどのUIは、今となっては身近なので違和感を抱くことはないだろう。しかしよく考えてみると、これらはいずれも不自然だ。

 テレビを操作するには、リモコンから適切なボタンを探し出して操作する必要がある(ただでさえ日本のテレビのリモコンは複雑怪奇)。キーボードに関しても同様で、人と会話をしたいだけなのに、特殊なキーボード上のアルファベット配置からローマ字を入力しなければ文字にならず、伝えたい言葉を表現できない。

 もし、あなたに専属の秘書がいたとしたら、どのように指示するかを考えてみてほしい。おそらく、「テレビを6チャンネルに変えて」「◯◯さんにメッセージ送っておいて」と、声を使うだろう。

 声で操作する二つめの理由は、「ながら操作」ができることだ。洋服を着替えながら携帯電話やスマートフォンで天気予報を調べるのは難しいが、洋服を着替えながら「今日の天気は?」と問いかけるのは簡単である。料理のシーンではもっと顕著で、料理をしながら書籍やスマートフォンで手順を調べるのは難しいが、料理をしながら手順を声で問いかけるのは簡単である。VUIは、何かをしながらの「ながら操作」ができるUIとしてメリットがある。

 このように、声によるコミュニケーション手段は、人間にとって自然かつ合理的だ。それゆえに、VUIは受け入れやすいユーザーインタフェースと考えられている。

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