架空企業の単純なユースケースを題材として、音声UI設計の具体的な手順を見ていく。まず、題材とする架空企業Aグループについて説明しよう。

 Aグループは1970年創業の小売業。日本全国に500 店舗を展開し、ECサイトも手掛ける。取扱商品は食料品、日用雑貨、衣料品など多岐にわたる。安さと優れたカスタマーサービスで、小売業としてのブランドを確立している。

 独自のポイントカードにより、顧客一人ひとりの購買情報を収集するが、戦略的なデータ活用は十分にできていない。

 Aグループは基幹系システムをAWS上で運用している。店舗POSやECサイトから得られる購買情報、ポイントカードの情報などは、AWSの仮想マシン上で動作させるPostgreSQLに蓄える。それらの情報の一部は既にパブリックAPI化しており、外部に公開している。

 メールアドレスを登録して利用規約に同意すればAPI キーを発行。キーによって、インターネット経由で情報を参照できる。認証には、OAuth 2.0を利用している。

 Aグループは顧客のロイヤリティー向上を目指し、Alexaスキルによって顧客向けコンテンツを拡充するほか、ポイントカードの情報などを活用する。

 Alexaスキルの開発を主導するIT部門が、Aグループの経営層から聞き取った要求は次の通りだ。

・大規模なシステム改修は行わない
・Aグループの認知度を向上させる
・ポイントカードのデータを最大限活用する
・Alexaスキルの利用頻度が高い顧客のロイヤリティーを高める

 これらの要求を満たすため、IT部門はAlexaスキルをスモールスタートで開発し、段階的にレベルアップさせていく方針にした。以下では、「ユーザーストーリーの作成」「台本の作成」「対話フローの作成」という三つの工程を順に説明する。それ以降の工程は次回に取り上げる。

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