「データを基に女性をターゲットに見据えたメニューを導入したところ、過去最高の売り上げを達成した」――。神奈川県でうどん店チェーン「里のうどん」を運営するワンオータスの西嶋芳生社長はAzureのAI(人工知能)サービスなどを使い、データ駆動型の店舗経営を実践した効果をこう語る。

 同社が導入したのは三重県伊勢市で商業施設を運営する創業100年のゑびやが、自社のノウハウを詰め込んで2018年5月から外販を始めたサービス業向け経営支援ツールの「Touch Point BI」だ。Touch Point BIは売り上げや在庫データ、気候、ホームページ閲覧数といった各種データを収集し、BI(Business Intelligence)ツールで分析し、可視化する。

 来店客の属性データも収集する。店舗に設置したWebカメラで来店客の顔画像を撮影し、Azureの顔認識AIであるFace APIで性別、年齢、感情などを分析する(図1)。西嶋社長は「勘と経験ではなく、米Amazon.comや楽天などのECサイトのように、データと理論に基づく店舗経営ができる」と話す。

図1 顔認識AIによる来店客の属性や売上・在庫データを可視化
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AzureのPaaSを活用

 Touch Point BIの基盤はAzureの各種PaaSを活用した。主な利用サービスはサーバーレスコード実行のAzure Functionsやストリームデータ処理のEvent Hubs、リレーショナルデータベースのAzure SQL Database、BIツールのPowerBIだ。

 ゑびやは2018年12月に、Touch Point BIのオプション機能として機械学習サービスのAzure Machine Learning(ML) Studioを使った来客予測AIの提供も始めた。

 来客予測AIは元々ゑびやが社内PCを使い、開発言語のRで開発した独自アルゴリズムを、Azure MLに実装したものだ。曜日や祝日、天気予報やその他関連データを基に、翌日の来客数を予測する。ゑびやにおける来店客の実数に対する予測誤差は1割未満と、平均9割の精度を誇る。

 ゑびやは予測結果を廃棄ロスの削減や最適な人員配置に生かし、売り上げを6年間で1億円から4.8億円に伸ばした。その間、従業員は42人から44人に微増しただけなので、生産性は5倍近く上がった計算になる。

 小田島氏によると「素の状態でも8割程度の精度は出るが、精度を上げるには季節要因を加味する必要があるので、データの収集に1年程度かかる」。このためワンオータスでの利用はまだ先になる。

 それでもワンオータスの西嶋社長は来客予測AIの実装に期待を寄せる。「ゑびやが築いてきた実績の通り、どの時間帯に来客が多いかといった情報に加えて翌日の来客数が分かれば、より効率的に人員を配置できる。単なる廃棄ロスの削減にとどまらず、働き方改革にも生かす」。

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