福岡銀行などを傘下に持つふくおかフィナンシャルグループ(以下FFG)は地方銀行の枠を超えた変革に取り組む。

 一例が社内ベンチャーであるiBankマーケティングが開発したFinTechアプリ「Wallet+」だ(図1)。ふくおかフィナンシャルグループ 福岡銀行デジタル戦略部 iBank事業室(兼務)の永吉健一 室長 兼 iBankマーケティング代表取締役は「iPhoneのように世界で通用する革新的な金融サービスを創る思いで開発した」と力を込める。

図1 FinTechアプリのデータ分析やブロックチェーン導入にAzure活用
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 Wallet+は銀行の従来サービスにとどまらない新サービスとして、2016年7月に提供開始した(図2)。デビットカード決済や預金残高確認、収支管理といった基本機能に加えて、結婚や旅行といったイベントに関連した情報コンテンツの配信、結婚や旅行などの目的別貯金といった機能を備える。

図2 Azure活用の主な経緯
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 アプリ利用によるポイント付与のほか、提携する旅行会社やホテル、自動車ディーラーなどによるクーポン提供機能もある。FinTechのサービスというよりは「金融分野と非金融分野をシームレスにつなぐ新しいエコシステムのプラットフォーム」と永吉氏は説明する。

 FFGは個人と法人をつなぐビジネスも進めており、金融と非金融を組み合わせたデータベースを基に様々なマーケティングを展開している。異業種との連携なども始め、地域連携による価値の共創を試みているという。

60万ユーザーと160超の提携先

 永吉氏は「金融だけでなく非金融の事業者やサービスとつながるための入口となり、様々な異業種との連携を進めている」と話す。ベンチャーやスタートアップの発掘・育成も目的の一つで、多様な技術やサービスに先行投資し、銀行やiBankマーケティングにつなげていく役割を担う。

 Wallet+は福岡銀行や熊本銀行、親和銀行のFFG傘下3行に加え、沖縄銀行でも個人向けに提供している。2018年11月には山梨中央銀行と協議を始めると発表した。

 広島銀行や南都銀行とも協議を開始しており、参加する銀行の拡大でユーザーの利便性向上につなげる考えだ。2018年12月時点でWallet+のユーザー数は60万を超える。提携するパートナーは2018年11月時点で約160社だ。

 アプリ利用は銀行顧客の維持・拡大、取引や運用額、付随する手数料収入の増加に結びつく。それらにも増して重要なのがアプリ上のバナーやメール、ポップアップを使った広告収入だ。「どのコンテンツを見たかといったアプリの利用履歴と目的別貯金の状況を分析し、各個人に合った広告を打てる」(永吉氏)。

 消費に直結するデータのため、企業側は購買期待度が高いユーザーに向けた広告を出しやすい。事業の中核となるマーケティング用のデータ分析を支えるのが、Azureの各種サービスだ。

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