横河電機はAzureを活用し、顧客が製造現場に設置した同社製の各種機器からのデータを収集・蓄積し、処理を実行して結果を表示するまでを担うIoT(Internet of Things)基盤を構築した(図1)。

図1 Azureを使ったIoT基盤を開発
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 鳥越研児事業開発センター技術統括部長は「製品の単なる売り切りから業態転換を図る。付加価値の高い継続的なサービスを提供していく」と狙いを説明する。

 IoT基盤の名称は「Industrial IoT(IIoT)Foundation」。2018年4月に基本部分を構築。2018年中に顧客への提供を開始する。

 IoT基盤の活用例として、鳥越部長は複数拠点の測定結果を活用した新サービスを挙げる。例えばディスプレーを搭載する工業用レコーダー(記録計)では、温度や振動数といった測定結果を現場で確認できる。ところが複数の現場でレコーダーを利用している場合、現状では顧客が拠点を回って結果を確認する必要がある。

 IoT基盤を使えばデータをクラウドで一元管理できるので、顧客はどこからでも複数現場の測定結果を確認できる。利便性の向上に加えて、「蓄積したデータを分析すれば機器の状態が分かる。異常の可能性があれば通知する新たなサービスも実現できる」(鳥越部長)という。

 IIoT Foundationはユーザー認証やアクセス認可、Eコマースマーケットプレイス、課金計算や請求書発送の仕組みを備える。これらを活用した独自アプリケーションを開発するパートナー企業も募っていく考えだ。「IoT基盤の構築にかかるコンサルティングや設計、テストなどの手間をかけずに、当社のパートナーとしてすぐにビジネスを始められる」と鳥越部長は話す。

 クラウドを活用したのは「顧客がどの場所からでも使えて、導入コストを抑えやすい。パートナーとの協業にも向く」(鳥越部長)と考えたため。2016年7月に、複数のクラウドサービスからAzureを採用した(図2)。

図2 Azure利用の主な経緯
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 Azureを選んだのはIoT基盤のグローバル展開を視野に入れているとともに、同社メンバーにクラウド活用の経験者が少なく「一緒に取り組んでくれる相手を望んだ」(鳥越部長)から。

 日本マイクロソフトの技術支援に加え、米Microsoftと「技術情報を交換しつつ開発を進めた」と鳥越部長は語る。

 基本部分の構築期間は1年と決めたため、アジャイル開発手法のスクラムを採用した。

 開発メンバー約20人は世界7拠点に散らばっていたので、「全拠点に専用のテレビ会議室を用意してコミュニケーションを取りつつ作業を進めた」(鳥越部長)。

 加えてプロジェクトの進行状況の追跡など、スクラム開発向けの機能があるクラウドベースの開発支援ツール「Visual Studio Team Services」を利用して乗り切った。開発費用は数億円(本誌推定)。

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