「当初から拡張性を意識したアーキテクチャーにしていたことで、アプリの追加開発や収集データの増加にも柔軟に対応できた」――。ジンズの菰田泰生JINS MEMEグループリーダーは、AWSをIoT(Internet of Things)基盤に活用したプロジェクトをこう振り返る。

 JINSブランドで知られるジンズは2015年11月、眼鏡型ウエアラブル機器の「JINS MEME」を発売した。眼鏡に取り付けた眼電位や加速度などのセンサーから収集したデータを使い、装着者の集中力や体軸のぶれなどを可視化する。データの集計や分析といった処理はAWS上で実行している(図1)。

図1 眼鏡型ウエアラブル機器で集中力などを可視化
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眼鏡、スマホ、クラウドで分担

 集中力などの可視化のほかにも、ライフログや運転時の眠気を検出するなど、複数用途に応じたアプリケーションサービスを提供中だ。

 眼鏡本体、スマートフォンのアプリ、クラウドで処理を分担、連携することで、サービスを実現している。

 エッジ側に当たる眼鏡本体では、各種センサーの計測データをBluetooth Low Energy(BLE)通信を使い、スマホに無線で転送する。眼電位センサーの生データは1秒当たり25kビットと大きいため、「BLEで全データをスマホに転送することはできない」(菰田氏)。

 本体に搭載するCPUは処理性能が低く、「眼鏡側でデータを意味付けして指標化するのも難しい」(菰田氏)という課題もあった。

 負荷を減らすため、本体の処理では短周期(数十秒から数分)の特徴点の抽出に限定した。菰田氏は「まばたきの瞬間など特徴が出やすい部分に絞り込み、データ量を100分の1程度に抑えた」と説明する。

 後処理はスマホとクラウドで実施した。クラウドはリアルタイム型のサービスに必要な長周期(数時間から数週間)のパラメーターを算出する。「まばたきの強さなどは人によって違う。クラウドで各個人の傾向値を算出している」(菰田氏)。

 全ユーザーのログデータを集計し、累計集中時間を表示するWebアプリも、クラウド上で実現している。

 スマホのアプリは眼鏡から受け取った短周期の特徴データと、クラウドで生成した個人の傾向値を利用して、「この人はいま覚醒状態にある」といった意味付けデータを生成する。これを基に各サービスを実行している。

 クラウドとスマホの処理は非同期で行っている。クラウドの各処理やスマホで提供する各サービスの単位で機能を切り分けることにより、「マイクロサービスアーキテクチャーで作り込んでいった」と菰田氏は語る。「サービスの統廃合や、アプリの追加や作り変えをしやすくしたかった」(同氏)からだ。

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