「独自にAI(人工知能)の利用環境を整えるのに比べて、クラウドAIを使ったことで開発期間やコストを大幅に削減できた」――。博報堂 ビジネスインキュベーション局 スダラボ エグゼクティブ・クリエイティブディレクターの須田和博氏は、クラウドAIの活用をこう振り返る。

 博報堂は2017年3月、クラウドAIと鏡を組み合わせたターゲティング広告配信システム「Face Targeting AD」を発表した。中核となるのはAzureのコグニティブ(認知)コンピューティング関連のAPI群である「Microsoft Cognitive Services」だ。

 顔認識APIの「Face API」と感情認識APIの「Emotion API(開発中にFace APIに集約)」によって、鏡の前に立った人物の特徴や顔の表情を認識し、そのときの感情や状態に合わせた広告を表示する(図1)。

図1 クラウドAIで人の感情に合わせた広告を鏡に表示
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 例えば「疲れているときは栄養ドリンクを表示したり、悲しそうな表情をしていれば思い切り泣ける映画の広告を出したりする」(須田氏)といった具合だ。表示は対象者の顔の動きに追従し、鏡に映った目から涙を流すといった演出もできる。

 須田氏が率いる社内プロジェクトの「スダラボ」は、2014年から新技術を活用した新しい広告商品開発を手掛けている。Face Targeting ADは第6弾の商品になる。

 2016年秋に、日本マイクロソフトからCognitive Servicesの紹介を受けたことが開発の発端だ(図2)。複数のAPIから顔認識APIに可能性を見出すと、「顔認識と鏡を組み合わせたら面白いものができるのではと直感した」と須田氏は話す。

図2 Azureを活用したFace Targeting AD開発の主な経緯
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