「社内から大反対されたが、覚悟を決めてアジャイル型の開発手法やPaaSの採用に踏み切った」――。富士フイルムソフトウエア サービス本部 アドバンストソリューショングループ イメージワークスチームの佐藤力チーム長は、Azureを使った画像管理、共有サービス「IMAGE WORKS」のIT基盤刷新プロジェクトをこう振り返る。

 IMAGE WORKSは富士フイルムソフトウエアが開発、運用を手掛け、富士フイルムイメージングシステムズが提供するBtoB向けのオンラインサービスだ。2017年5月時点のユーザー数は約4万人、1日の登録データ量は約1TB、1日のリクエスト数は約500万回、ピーク時のトラフィックは約800Mbpsと、相当規模のデータのやり取りがある。

顧客要求への対応が困難に

 IMAGE WORKSを支えるIT基盤は2006年の提供開始から、オンプレミス(自社所有)環境で運用していた。提供開始当時の技術を大きく変えずに使い続けてきた結果、「顧客から求められる要求とのギャップが広がっていた」と佐藤リーダーは語る。

 当時抱えていた課題は大きく四つある(図1)。一つは開発、運用保守の負荷増加や属人化だ。IMAGE WORKSは社内ベンチャー事業として立ち上げた。システムの核となるリレーショナルデータベース(RDB)は、OSSであるPostgreSQLを採用し、中国のオフショア開発を利用するなどしてコストを抑えた。

図1 画像管理、共有サービスをAzureのサービスで刷新
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 丸投げに近い形で作ったソフトのため、「後から入ったメンバーが手を付けられず、コードを少し解析するのに2~3日掛かっていた」と佐藤リーダーは話す。

 二つめはSQLの検索性能の低下だ。IMAGE WORKSでは画像などのファイルに対し、誰が表示できるかといった権限管理などの付帯情報が多数あった。「ファイルの管理はRDBでの表現が難しい階層構造であるため、ファイル数やフォルダー数が増えるにつれSQLの検索性能が下がっていた。ある顧客では10数秒掛かる場合も出てきていた」(佐藤リーダー)という。

 さらに、アプリやインフラの拡張性確保や、サービス稼働率のさらなる向上といった課題も抱えていた。

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