「某社のデータセンターを使う社長決裁直前の稟議書を破ってAWSの導入に踏み切った」――。フジテックの友岡賢二 常務執行役員 情報システム部長は、情報システム部長就任当時をこう振り返る。

 同氏はファーストリテイリングの業務情報システム部の部長を経て、2014年4月1日にフジテックの情報システム部長に就任した。冒頭の発言は、就任初日の出来事だ。フジテックではそれまで自社のデータセンターで業務システムを稼働していたが、「建物の堅牢性に問題があった」(友岡常務)。

 BCP(Business Continuity Planning、事業継続計画)の観点から別のデータセンターを探していたが、友岡常務は前職での経験を基に「サーバーを自前で運用するよりAWSを使ったほうが担当者の負荷を減らせる」と考え、方針転換を決めた(図1)。

図1 社長決裁直前の稟議書を破棄してAWS導入に踏み切る
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AWS活用に勝算あり

 AWSを使うには新しいスキルが必要になるが、友岡常務は「勝算があった」と語る。「我々は基幹系のシステムも含めて全て内製している。サーバーの運用も自分達でほとんど手掛けており、スキル面では自信を持っていた」(同氏)。

 開発・運用を手掛ける社員は34人いる。「短期間だけプログラマーの派遣をお願いすることもあるが、基本的には3カ月で契約を終える」(友岡常務)という。

 AWSを導入するうえでは、スモールスタートで試用・検証を重ねた。まずは基盤責任者のクレジットカードを使い、AWSのアカウントを取得した。フジテック 情報システム部 主務の松本紘直氏は「ひとまずサーバーを作成しようとしたところ、わずか10分でサーバーが作れたことに驚いた」と話す。

 あまりの手軽さに「いろいろ試し過ぎて一時的にクレジットカードの請求額が予想以上になったが、使える手応えを感じた」と松本氏は語る。

 2014年7月にはEDI(Electronic Data Interchange、電子データ交換)システムなど2、3システムをAWS上に移行した(図2)。「初めはユーザーが触らないバックエンド系のシステムを移行していった」と友岡常務は説明する。

図2 AWS導入の主な経緯
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190インスタンスをAWS上で稼働

 友岡常務によると、2017年4月時点で「190のEC2インスタンスを利用している」(図3)。原価積算や品質管理といった基幹系システムは「スクラッチで開発したもの」(友岡常務)だ。

図3 190インスタンスをAWS上で利用
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 基幹系システムはライセンス上移行できないなどの理由で、「オンプレミス環境で稼働しているものもたくさんある」(同氏)という。オンプレミス環境で稼働している基幹系システムのうち、財務会計システムと連結決算のシステムは例外的にパッケージを使っているが、残りはこちらもスクラッチで開発した。

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