「従来のプロジェクトとは比較にならない短期間で基盤を構築できたのは驚きだ」――。毎日放送(MBS) 経営戦略室メディア戦略部 副部長 兼 編成局コンテンツビジネス部の濱口伸氏は、2016年12月に提供開始した定額制の有料動画配信サービス「MBS動画イズム444」のシステム基盤構築をこう振り返る。

 開発期間が限られていたことから、AWSのマネージドサービスとアジャイル型の開発手法を採用し、約3カ月で基盤を構築した。

 運用コストを軽減するため、イベント駆動型コード実行サービスの「AWS Lambda」を使い、仮想マシンを使わずコードを実行する「サーバーレス化」を図った。

 濱口氏は「金額はいえないが、EC2を多用した場合の見積もりと比べて運用コストは相当抑えられた」と胸を張る。開発過程ではLambdaの実行制限を回避しつつ、サービスの安定性を高める仕組みも整えた。

発端は無料サービスの拡張

 MBS動画イズム444はドラマ、バラエティ、アニメ、スポーツなど毎日放送で現在放送中や過去の番組を、PCやスマートフォンを通じて月額444円(税別)の定額で視聴できる。2017年2月時点で「登録コンテンツ数は1500を超えた。会員数も順調に増えている」(濱口氏)という。

 プロジェクト発足のきっかけは、2015年3月に提供開始していた無料の見逃し動画配信サービス「MBS動画イズム」の事業拡張だ(図1)。

図1 AWSなどを使い有料動画配信サービスを提供
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 MBS動画イズムは、番組の放送終了後から1週間無料で動画を視聴できるサービス。オンライン動画の配信基盤を提供するブライトコーブの「Video Cloud」を使っている。

 毎日放送 編成局 コンテンツビジネス部 部次長 兼 ITクリエーション室 ITビジネス部 部次長の中川貴博氏は、「視聴者サービスとして始めたが、配信基盤の維持費が掛かる。事業として成立させるには、何らかの手を打つ必要があった」と話す。

 見逃し動画に広告を掲載する取り組みを進める一方で、課金配信の仕組みの検討を始めた。「せっかく配信処理をした動画を1週間で死蔵させるのはもったいなかった。新サービスとして課金配信ができないか考えた」と中川氏は語る。

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