「事業の根幹を成す商用サービスのシステムに比べて、業務システムに回す予算は限られている。求められるサービスレベルを維持しつつ、事業の継続性をどう実現するかを考慮してハイブリッド構成に行き着いた」。レコチョク プラットフォーム推進部 社内ITグループの戸丸鉄平グループ長は、同社の業務システム刷新プロジェクトをこう振り返る。

 音楽配信の国内大手であるレコチョクは、業務システムを従来契約していたデータセンターから東京本社のデータセンターに移行中だ。2016年中には全システムの移行が完了する見込み。BCP(事業継続計画)の観点から、比較的重要なシステムの障害に際してはAzure上で復旧する体制も整えた。

 Azureの利用検討を始めたのは2014年6月のこと(図1)。「5年ごとのハードウエアの更新期限が近付いていた。商用系のシステムがAWSに移行する中で、業務システムをどうするかが検討のきっかけだった」と戸丸氏は語る。

図1 Azureを使ったハイブリッドクラウド構成の主な経緯と苦労したポイント
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リスク分散とサービスが決め手

 レコチョクの主な音楽系サービスを支える商用系のシステムは、2014年にAWSへ移行作業を始めている。2017年3月までに全システムの移行を完了する予定だ。商用系と業務系の両システムを統括する稲荷幹夫CTO(最高技術責任者)は、「リスク分散から複数のサービスに分けたほうがよい」ことをAzure採用の理由の一つに挙げる。

 戸丸氏と同じプラットフォーム推進部 社内ITグループの藤川大氏は、仮想マシンの保護やレプリケーション(複製)を自動化する障害復旧サービス「Azure Site Recovery(ASR)」の存在が大きかったと話す。ASRはオンプレミスの業務システムに対し、最新の状態を自動レプリケーションし、障害発生時はAzure上で即座にシステムを復旧して事業を継続できる(図2)。藤川氏によると「Azure上に約20分でシステムを復旧できる」という。

図2 ハイブリッドクラウド構成でコストと可用性の最適化を実現
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 社内システムの内訳はファイルサーバー、決裁ワークフロー、勤怠管理、会計などの業務アプリケーションが中心だ。資産管理やシステム運用・セキュリティ管理などの各種ツールもあり、合計で10を超える。主にパッケージソフトを使い、物理環境のWindows Server上で動いていた。

 ファイルサーバーのストレージも、別途契約したデータセンター内に専用の機器を設置していた。「東京本社とはWANで接続しているため、ネットワークの遅延に対する不満があった」と戸丸氏は話す。

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