マイナンバー最前線

【必修 企業のマイナンバー取り扱い実務とは】第3回 (2/3)

マイナンバーの適正な取り扱い(上)

榎並 利博=富士通総研 経済研究所 主席研究員

【2015/07/07】

 従業員のなかには、長期療養中などで出社できない人もいるかもしれない。そのような人については、代理人からマイナンバーの提供を受けることになる。その場合にも確認する要件が規定されており、次の3要件についてそれぞれ書類に基づいて確認しなくてはならない。

・代理権の確認:法定代理人の場合は戸籍謄本など、任意代理人の場合は委任状
・代理人の身元の確認:代理人の個人番号カード、運転免許証など
・本人の番号確認:本人の個人番号カード、通知カード、マイナンバーの記載された住民票の写しなど

 また、運転免許証を持っていない従業員の身元確認、郵送や電話でマイナンバーを取得する際の条件、オンラインで取得する方法などについて実務的な疑問もあることだろう。そうした場合に必要な書類については、マイナンバー法施行規則をまとめた資料、「本人確認の措置(本人および代理人)」で公開されている。

(2)従業員の家族のマイナンバー取得

 年末調整の「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」や健康保険の被扶養者の手続きのように、従業員本人だけでなく、その家族のマイナンバー取得が求められることもある。

 このような場合は、従業員を「個人番号関係事務実施者」とみなすことができる。つまり、従業員が家族の本人確認を行って、事業主へマイナンバーを提出する義務を負う。そのため事業主としてはその書類を受け取って手続きを進めればよく、その内容について責任を負うことはない。

 一般的にはこのような実務で問題ないが、国民年金の第3号被保険者(従業員の配偶者)の届け出のように、事業主が配偶者の本人確認を行う制度では別の方法をとる必要がある。実務的には、従業員が代理人として配偶者のマイナンバーを事業主に提供する、あるいは事業主が従業員に配偶者のマイナンバー取得を委託するという方法を取ることになるだろう。

(3)その他の注意事項

 マイナンバーの取得は、手続きに必要になった時点で取得するのが原則である。しかし、企業の実務としては、手続きのたびに従業員からマイナンバーを取得するのは非効率的である。この場合、初回に本人確認を行って取得したマイナンバーを人事データベースに記録し、2回目以降はデータベースの情報を使って手続きを進めることができる。

 ただし、マイナンバーを取得する際には、利用目的を本人に通知あるいは公表しなければならない。複数の利用目的をまとめて明示することも可能だが、利用目的を後から追加することはできない。利用目的を後から追加する場合は、マイナンバーを取得し直すのが原則である。ただし、当初の利用目的と合理的な関係があれば、目的の変更と本人の通知で利用できるという規定もある。これについては次回の「利用」のところで説明する。

 なお、従業員からマイナンバーの提供を拒否された場合は、法令で定められた義務であることを周知し、提供を求める以外に方法はない。それでも提供に応じない場合は、書類の提出先である自治体や税務署に「努力したが取得できない」旨を伝えることになる。

 また、マイナンバー取得業務を委託することは可能であるが、マイナンバー制度特有の条件が付く。それについては第5回で詳述する。