マイナンバー最前線

【マイナンバーを取り扱う具体シーンごとの注意点】第8回

マイナンバーを取り扱う際の注意点まとめ

水町 雅子=五番町法律事務所 弁護士

【2016/02/26】

 本連載では、マイナンバーを取り扱う際の注意点を、取得・利用・提供・委託・管理・廃棄というフェーズごとに解説してきた。最終回となる今回は、そのまとめを行う。

 全体を通して重要となってくる点は、2点ある。1点目はどのフェーズの問題かをまず考えること。2点目は、必要以上に取り扱わないことである。

1.どのフェーズの問題なのかを考えよう

(1)フェーズの切り分けが問題解決の近道

 マイナンバーというと、「どうすればよいかわからない」「これはできるのか」「あれはできるのか」と悩まれる担当者も多いと思う。だが、まずは問題となるフェーズが具体的に取得・利用・提供・管理・廃棄のどれに当たるのかを考えよう。

 マイナンバー法でも個人情報保護法でも、マイナンバーを含む個人情報の取得に関するルール、利用に関するルール、提供に関するルールなどがあり、ルールごとに、対象としているフェーズが異なる場合がある。初めに、どのフェーズの問題かという、フェーズの切り分けを行おう。

 マイナンバーに関する相談でありがちなのが、フェーズの混同である。個人情報というと「目的外利用」という言葉が有名なせいか、「こういった場合に目的外利用ができるのか」という質問を受けることがある。しかし、話を最後まで聞いてみると、「利用」のフェーズではなく、「提供」のフェーズの問題に対し、「目的外利用できるか」を尋ねていたということも多い。よく聞く「目的外利用」「安全管理措置」などの言葉に惑わされることなく、どのフェーズの問題なのかを最初に切り分けよう。

 特に、マイナンバーの「取得」なのか「利用」なのか「提供」なのか、これを区別することが重要だ。「利用」とは、会社であれば法人の中での取り扱いであり、「提供」とは法人をまたぐ取り扱いである。また、取得は提供の裏返しであり、例えば法人外から法人に情報を取り込むことである。

 問題となるフェーズが「利用」であると判断できれば、利用に関するルールを確認する。「提供/取得」であると判断できる場合には、提供/取得に関するルールを確認しよう。

(2)「利用」と「提供」の違い

 同一法人格の中での取り扱いが「利用」であるので、同一会社内であれば、別の部署にマイナンバーを移動させる場合でも、別の支社・事業所に移動させる場合でも、同一部署内の別の従業員に渡す場合でも、「利用」に該当する。

 これに対し、法人の外に出ることが「提供」であるので、たとえグループ会社であっても子会社であっても委託先であっても、法人格が異なる相手に移動させる場合は、「提供/取得」に当たる。

 ただし、社員と会社との間の授受は、「利用」に当たる場合と「提供」に当たる場合があるので注意が必要である。社員が会社の業務としてマイナンバーを取り扱い授受する場合と、社員個人のマイナンバーを授受する場合とでは、意味合いが異なるからだ。

 社員が自分や扶養家族のマイナンバーを会社に渡す行為は、「提供」に当たる。なぜなら、社員は会社の業務としてマイナンバーを取り扱っているわけではないからだ。それに対し、マイナンバーを取得担当者が保管担当者に渡す行為は、同一法人内であれば「利用」に当たる。取得担当者も保管担当者も、会社の業務としてマイナンバーを授受しているからである()。

図●「利用」と「提供・取得」の違い
[画像のクリックで拡大表示]

 なお、社員の扶養家族が社員に自分のマイナンバーを渡す行為は、家族と社員とでは人格が異なる者の間での移動なので、「提供」に当たる。

 具体例で考えると、A社が社員と扶養家族からマイナンバーを取得する際に、A社社員の家族がA社社員に自分のマイナンバーを渡す行為は「提供」である。A社社員が自身と扶養家族のマイナンバーをA社営業一課社員に渡す行為も「提供」である。これに対し、A社営業一課担当者がA社総務課担当者にマイナンバーを渡す場合は、「利用」に当たる。そしてA社がZ社に業務を委託するに当たりマイナンバーを渡す行為は「提供」に当たる。