原寸大模型の重要性を知る

 またあるときは、RPBWのパリオフィスに行ってみると、メゾン・エルメスの1層分の原寸大モックアップが用意されていたことがあった。まだ設計の途中にもかかわらず、設計事務所が原寸大で用意するのは非常に珍しい。

写真は、レンゾ・ピアノ財団の中庭に置かれている高さ10m以上の巨大な模型。ニューカレドニア・ヌメアにあるジャン・マリー・ティバウー文化センターを設計する際に使った(写真:日経アーキテクチュア)
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 「今ではCGなどで完成イメージをクライアントに見せられるが、それでも分からない部分はある。ましてや15年以上前の設計当時、ガラスを通した光の印象を原寸大で確認することは非常に重要だった。“感覚的に理解する”というものづくりの精神を学ぶ機会となった」

 RPBWでは、プロジェクトの設計依頼を受けて契約する際、必ず原寸大モックアップの制作をクライアントに説明し、承知してもらう。そして原寸大のモックアップを見ながらクライアントと細部まで確認し、意見を交換するようにしている。

 設計の完成品を最後に押し付けるのではなく、クライアントと設計過程を共有しつつ、納得のいく建築を目指すレンゾ・ピアノ。おそらくそうしたクライアントとのコミュニケーションの取り方も、必要性を感じているだけでなく、心底、ものづくりが好きだからこそ生まれた姿勢なのかもしれない。

『名建築が生まれた現場』(日経BP)発売記念
金田充弘×吉村靖孝 対談イベント
「世界の事務所で味わう真剣勝負」

■2016年10月17日(月)19:00~20:30(開場18:30~)
■会場:TSUTAYA TOKYO ROPPONGI 2F 特設イベントスペース
■定員:50人
■参加方法: http://real.tsite.jp/ttr/event-news/2016/09/world-architecture-offices.html

イベント内容
書籍の発売を記念し、海外での勤務経験を経て、国内外で活躍中の設計者2人を招いて対談イベントを開催します。ご登壇いただくのは、構造エンジニアでArup Japan シニアアソシエイトの金田充弘氏と、吉村靖孝建築設計事務所の吉村靖孝代表。日経アーキテクチュア記者がナビゲート役を務めながら、設計事務所という「真剣勝負の場」について語っていただきます。今まさに最前線で戦う2人だからこそ語れる、リアルな現場話が飛び出すかもしれません。是非、ご参加ください。

【注意事項】
※当日のご入場はご来場順、自由席です。

出典:日経アーキテクチュア 2016年10月13日公開
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