五重塔の例えにレンゾもクライアントも納得

 とはいえ、レンゾ・ピアノ氏や、クライアントのエルメス担当者は浮き上がる柱の構造を受け入れてくれるだろうか。プレゼンテーションの前、金田氏は不安だったという。だが、浮き上がることで地震力を受け流すコンセプトを伝えると、両者ともすぐに合意した。「説明の際に、同様の構造で長年立ち続けている五重塔を例に出したことで、すんなりと納得してもらえた」と金田氏。

 実際に設計が進むなかで金田氏が衝撃を受けたのは、RPBWのつくるスタディー模型は圧倒的に高いクオリティだったことだ。日本では紙やポリスチレンフォームなどで模型をつくることが多い。一方でRPBWがつくる模型は木がベースだ。それぞれのメリットはあるが、文化の違いを感じたという。

 「模型の素材に対する感覚が研ぎ澄まされていて、模型でも作品のようなクオリティ。設計者というよりは、船大工さんがつくる模型のようで、そのまま持って帰りたくなるようなものだった」

イタリアのジェノバには、レンゾ・ピアノ・ビルディング・ワークショップのオフィスと、模型などを保管・展示しているレンゾ・ピアノ財団がある。写真は財団の中で飾られている模型(写真:日経アーキテクチュア)
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