先ほど学ぶことはたくさんあると言いました。でも、全てを習得する必要はないのです。しかも、入社すると、学生時代とは違ってふんだんに時間があるわけではありません。従って、限られた時間の中で「いかにして効率よく知識を習得するのか」が課題となります。そのためには「まず基礎知識はどのレベルまで学べばよいのか」、そして「その知識を実務の視点から理解すること」が大切だと思います。

 この基礎知識のレベルは業種によっても企業によっても変わるとは思いますが、本コラムでは一般的なものづくりにおいて知っておきたい知識習得のための「実務の視点」からワンポイント・アドバイスをお話ししていきたいと思います。

 「実務の視点」とはこういうことです。例えば「ねじのピッチ」を理解したいときに、書籍やインターネットで調べると「ピッチとは、ねじ山とねじ山との距離」と書かれています。確かにその通りです。しかし、実務の視点では「ピッチとは、ねじを1回転させたときに進む距離」であるという定義の方が、格段に理解が深まるし、実際に「使える」と思います。この視点で見れば並目ねじと細目ねじの違いも分かりやすくなります。

 また、学びの優先度についてもお伝えしたいと思っています。例えば、「材料の基礎知識を習得する際には、結晶構造の金属学の知識までは必要ない」とか、「図面を読む基礎知識を学ぶ際には、『幾何公差』は飛ばして、ひと通り全体像が分かるようになってから最後に学べばよい」といった、書籍ではなかなか触れられてはいないものの、即戦力を目指す人にとっては重要なヒントも提供します。

 次回は「材料の基礎知識」からスタートします。初めて学ぶ方にも分かりやすくお伝えしていきます。

出典:日経テクノロジーオンライン 2016年4月26日公開
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