株式会社いちたかガスワン
管理部 システム室 室長
伊藤敬一氏

 冬の北海道の寒さは厳しく、暖をとるために灯油が重要な役割を担う。その灯油を各家庭や事業所に供給しているのが、札幌市に本社を置くいちたかガスワンである。1960年創業で、札幌市内を中心に函館や帯広まで広くカバーしている。

 長年、灯油を供給してきた同社にとって最も優先すべきは「灯油を切らさないこと」だ。そのために配送スタッフが給油用トラックを運転し、契約している顧客の住居のタンクに灯油を補充して回る。

 しかし、灯油が最も必要とされる冬場の配送には様々な困難が伴う。積雪でスピードが出せないだけでなく、路面凍結で迂回せざるを得ないこともある。計画通りに回れなかった場合には、持ち越し分を配慮して翌日の予定を組み直すことになる。

 さらに、配送先である顧客の事情がより事態を複雑にする。消費ペースはそれぞれ異なる。ロードヒーティング(道路の融雪、凍結防止のために路面温度を上げる設備)などを行っているところでは、契約しているペースでは間に合わず、早めに給油することもある。顧客によってタンクの設置場所もまちまちで、わかりづらいところに設置されていることもある。

 問題は凍結時の迂回路、給油サイクルの調整、トラックの停車場所といった細々とした対処が個々の配送スタッフの知識や経験、裁量に委ねられていることだ。配送スタッフが体調を崩して休んだりすると現場はパニックになる。

紙の伝票による管理から、クラウド活用によるデジタル化へ。灯油の配送計画をタブレットで管理し、作業効率の向上とノウハウの共有を実現した。同社が短期間で構築したシステムとは?

 いちたかガスワンの管理部 システム室 室長の伊藤敬一氏がその対策として考えたのが、基幹システムに蓄積してきた取引データを配送計画の立案に使い、タブレットを駆使して現場の属人的な仕事を平準化することだった。

 思いついた当初は“夢物語”だったこのデータ活用だが、意外にもすんなりと実現できた。タブレットからアクセスできる「灯油配送計画支援システム」はわずか1カ月強で出来上がり、実証実験にこぎ着けた。しかも、大きなシステム変更を行うことなく初期投資を抑えることができたという。

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