高品質な製品を低価格で販売するだけでは、企業は競争力を維持できない。顧客満足度を高めるには、販売した後の「顧客体験」も重視しなければならない。ここで重要な役割を果たすのが、訪問修理の円滑化だ。しかし、修理依頼を受け付けるオペレーターの判断ミスやバラツキによって、最適な訪問修理が行えていないケースは多い。この問いの解決に貢献するのがAIの活用である。ここではその具体的な取り組みを紹介する。

トレードオフの関係にある部品在庫と訪問回数の最小化

 競争の激化に伴って、企業は高品質な製品を販売するだけでは、競争力を維持し続けることが困難になっている。そこで重視されるのが、顧客満足度を高めるための「顧客体験」の向上だ。ここで大きな役割を果たすのが、販売後の保守を迅速かつ的確に行うことである。特に大型家電や業務用機器では、故障や異常が発生したときの訪問修理を円滑に行うことは、顧客満足度を大きく左右する要因になるといえるだろう。

 訪問修理では、顧客からの依頼をコールセンターのオペレーターが受け、「どのような手配が必要なのか」を判断し、しかるべき技術を持つサービスエンジニアへと引き継ぐことになる。サービスエンジニアはオペレーターが聞き取った状況から、修理などに必要な部品や工具を選定、現場に移動して対応を行う。

 重要なことは、サービスエンジニアが必要最小限の部品の持参ですむことと、1回の訪問で対応を完了させることだ。前者は交換部品の在庫削減に貢献し、後者は顧客満足度向上につながるからである。しかし、これらはトレードオフの関係にある。最小限の部品を持参して「実はほかにも必要だった」ということになれば、再訪問する必要が生じてしまう。逆に再訪問を防ぐには、「ひょっとすると必要になるかもしれない」部品を持っていくことになり、結果的に部品在庫を押し上げることになる。

 このような状況をできる限り回避するには、修理依頼を受け付けるオペレーターが、故障の状況を的確に判断し、サービスエンジニアに引き継がなければならない。しかしそのためには経験豊富な、ベテランオペレーターが必要だ。また人の判断にはバラツキがあり、常に的確な判断を行えるという保証は難しい。

 この問題を解決するにはどうすればよいのか。その答えの1つが「AIの活用」だ。実はこのような取り組みは、すでに始まっている。

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