デジタルマーケティングの活用によって企業は、これまで接触できなかった顧客を発掘し、営業成果の拡大に貢献することが可能になった。その活動を加速させるには、見込み客(以下、「リード」)の名刺などから得られる基本属性とWebの閲覧などから分かる行動属性を掛け合わせた「データドリブン」の考え方を取り入れなくてはならない。富士通のデジタルマーケティングは、デジタルにとどまらず、リアルで展開した施策への反応や行動履歴も取り入れながら、リードの購買意欲を育成し、営業部門と連携した重点顧客とのビジネス拡大を目指している。その具体像を見てみよう。

 富士通はこれまで、「顧客データの活用」と「デジタルとリアルの連携によるシナリオ型アプローチ」を進めてきた。そして今、営業成果の拡大を重視した取り組みを加速させている。その狙いは、マーケティング部門から営業部門に引き渡すリードの質をさらに一段高めることにある。

図1 デジタルとリアルの境目なく連携させたプロモーション施策
図1 デジタルとリアルの境目なく連携させたプロモーション施策
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富士通株式会社<br>マーケティングコミュニケーション本部<br>デジタルセールス統括部<br>デジタルマーケティング推進部<br>大井幹順氏
富士通株式会社
マーケティングコミュニケーション本部
デジタルセールス統括部
デジタルマーケティング推進部
大井幹順氏

 その一環で、従来のマーケティングフローを見直した。「ばらばらに実施していた広告、Web、セミナーなどのプロモーション施策を、顧客の検討プロセスに合わせてデジタルとリアルの境目なく横串で連携させました」と、富士通 マーケティングコミュニケーション本部 デジタルセールス統括部 デジタルマーケティング推進部 大井幹順氏は説明する(図1)。

 「ワークスタイル変革」を提案する場合では、デジタルでの施策に加えて、「コミュニケーション変革」や「テレワーク」などを切り口にした参加型のワークショップに顧客を誘導する。この場では複数の現場から集めたキーパーソンの意見を基に、社内でも漠然としている課題の明確化やその解決策のアイデア集約などを進めていく。こうしてその顧客ならではのソリューションを見つけ出し、営業部門に案件候補として引き渡す。

 これらの施策を実行する基盤となるのが、全社横断で2016年に整備を始めたプライベートDMP(P-DMP)である。ここにリードとの接触データ(セミナーへの参加履歴や独自に集めていた顧客企業ID、Webアクセスログなど)を集約し、合計で約22万リード分を蓄積した。大井氏は「従来に比べて非常に大規模なリード情報を使えるようになり、効率的なプロモーションが可能になりました」と話す。

 富士通は全社的に、企業を課題解決に導くソリューションを「テーマ」として整理し、ここから顧客の真のニーズを発掘していくというマーケティング手法を展開している。その一環で、まず「ワークスタイル変革」「AI(人工知能)」「デジタルマーケティング」といったテーマを9つ選定した。これらテーマを使った顧客へのアプローチを効果的に進めるため、13種類のシナリオを用意して、約4万4000のリードを「育成」している。

 「具体的にはWebサイトや電子メールといったデジタルの施策と、セミナーやワークショップといったリアルの施策を組み合わせて、マーケティングオートメーション(MA)を使ってアプローチします」(大井氏)。1シナリオにつき約30種類の施策を用意し、リードの反応を見ながら、その購買意欲を徐々に盛り上げていく。

 これら取り組みで一貫しているのが、データドリブンの考え方である。具体的な取り組みとして、「P-DMPを活用したイベント展開」と「重点顧客へのABM(アカウントベースドマーケティング)型アプローチ」を見てみよう。

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