今、インターネットやスマートフォン、IoT(Internet of Things)の普及により、膨大なパーソナルデータが蓄積され続けている。このパーソナルデータをいかに活用するかが、これからの企業や社会にとって重要なテーマとなってきている。そこで注目が高まりつつあるのが「情報銀行」だ。政府が検討を進める情報銀行構想だが、すでに民間でも実証実験が行われるなど、実現に向けた取り組みが始まった。

 ECサイトで買い物をすれば嗜好に合った商品がレコメンドされる、Webサイトを見ると買いたくなる商品の広告が表示される--。もはや当たり前の光景だが、この裏では膨大なパーソナルデータが蓄積され、活用されている。ユーザー個人の情報やWebサイトでの行動履歴をデータベースに記録。それを分析し、似たような嗜好のユーザーが購入したものをお勧めするといった具合だ。

 しかし、この状況は大きな懸念をもたらす。膨大なデータを集められるのは一部の企業だけ。その企業だけがパーソナルデータを活用できるのであれば、企業間の情報格差が広がる。実際に情報市場における寡占化は確実に進んでいる。

 こうした状況への対応に危機感を持つのが、「未来投資戦略2017」にビッグデータ活用を位置付ける日本政府だ。デジタル時代の競争力の源泉はデータであり、特にパーソナルデータの持つ力は大きい。パーソナルデータを企業間で流通させ、効果的に活用することができなければ、日本の成長力が躍進することも叶わない。

 さらに、個人情報の取り扱いに関する考え方にも変化が起きつつある。EU(欧州連合)は、2018年にもデータポータビリティの権利を定めたEU一般データ保護規則を施行する。データポータビリティとは、企業が取得した個人データを本人の意思で自由に引き出したり他の企業に移したりできる仕組みを指す。日本の企業も、こうした世界的な動きへの対応が急がれる。

図1 情報銀行の概要
図1 情報銀行の概要
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 そこで内閣官房は、パーソナルデータの活用に向けた地ならしに取り組み始めた。2016年9月、パーソナルデータ等の活用を検討する「データ流通環境整備検討会」という有識者による会議を立ち上げた。

 この取り組みの一つとして挙げられているのが「情報銀行」だ。個人がクラウドやスマートフォンなどにあるパーソナルデータを情報銀行に預け、それをデータ活用企業が利用する。利用できるのはもちろん、パーソナルデータを使っても良いと個人の提供者が認めたもののみである(図1)。

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