必ずしも顧客満足向上につながっていないオムニチャネル化

対面、Web、電話など、どんな顧客接点でも、一貫した体験やサービスを提供する「オムニチャネル」。日本でも取り入れようとする企業は増加しているが、その真の効果を享受できているケースはまだ少ない。その要因は、肝心の「顧客ID」がチャネルごとに散在しており、統合管理できていないことにあるという。この状況を脱却し、一歩進んだオムニチャネルを実現するにはどうすればよいのか。

先進的なオムニチャネルの仕組みを実現しているPioneer DJの西川 正紀氏、平野 雅英氏、オムニチャネルに詳しいオイシックス・ラ・大地の奥谷 孝司氏、NTTコム オンライン・マーケティング・ソリューションの嶋田 貴夫氏が、そのポイントについて語り合った。

――デジタル領域を含めたマーケティング施策の立案・高度化が重要になっています。日本企業の取り組みの現状をどうご覧になっていますか。

奥谷 製品・サービスごと、あるいは顧客の年齢・性別や興味・関心の度合いごとに狙いを定めたWebサイトを立ち上げ、顧客との接点を増やそうとする企業は多数あります。ただ問題は、それが必ずしも顧客満足度の向上にはつながっていないことです。むしろ満足度低下につながるケースも少なくありません。

オイシックス・ラ・大地株式会社 執行役員 統合マーケティング本部・店舗外販事業部管掌 店舗外販事業部 部長 COCO(Chief Omni-Channel Officer) 奥谷 孝司氏
1997年、株式会社良品計画入社。国内で店舗を経験したのちドイツ駐在。帰国後、衣服雑貨部の衣料雑貨のカテゴリーマネージャーとなり「足なり直角靴下」を開発。「MUJI passport」のプロデュースで2014年日本アドバタイザーズ協会Web広告研究会 第2回Webグランプリ Web人部門でWeb人大賞を受賞。2015年10月オイシックス株式会社(当時)入社。現職に至る。

 例えば、ECサイトを運営するある企業が、新たにマーケティングサイトを立ち上げるケースを考えてみましょう。企業は新規顧客の情報が欲しいので、サイトにアンケートを設置し情報入力を促します。しかし、既にECサイトのアカウントを持っている顧客がそのサイトを訪れた際、名前やメールアドレス、年齢などの入力を改めて求められたら、どう感じるでしょうか。入力のわずらわしさ以前に、自分のことを把握していない企業に対して不信感を抱く可能性もあります。

 また、多くの企業には、コンタクトセンターや営業担当者とのやりとりを通じて蓄積した顧客情報も存在しています。仮に先の企業が、ECサイトの顧客情報と、この既存の顧客データベースの情報が別々だったとしたらどうでしょうか。既にECサイトで購入済みの商品を、営業担当者が後日お薦めしてしまうといったケースも起こり得るでしょう。こうしたオンラインとオフラインの非連動性も、顧客の信頼を損ねる原因になります。

――なるほど。ただ、そのような状態にある企業は少なくない気がします。この問題を解決するには何が必要なのでしょうか。

奥谷 オムニチャネル戦略のカギは、顧客の視点に立つことです。それには“個客”を可視化・識別し、ニーズを的確に把握する必要があるでしょう。乱立するWebサイトやチャネルが、それぞれに顧客情報を保有している限り、これを実現することは難しい。解決するには、「顧客ID」を統合することが、有効な策となります。

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