光変調器を超省エネ化し、高速高効率な光トランジスタを実現

〜光電子融合型の超低消費エネルギー・高速信号処理へ前進〜

 

 日本電信電話株式会社(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:澤田 純、以下NTT)は、世界最小の消費エネルギーで動作する光変調器と光トランジスタを実現しました。

 従来、光変調器や受光器のような光−電気変換デバイスは高い電気容量を持つため、消費エネルギーが高く、光と電子回路が緊密に連携した信号処理を行うことは困難でした。本研究グループは、フォトニック結晶と呼ばれるナノ構造技術を用いて、世界最小の電気容量を持つ光電変換素子の集積に成功しました。この技術により、世界最小の消費エネルギーで動作するナノ光変調器や、光入力信号を別の光へ変換・増幅出力させる「光トランジスタ」を実現しました。このようなナノスケール光電子集積によって、光による高度な信号処理技術をプロセッサチップの中へ導入することが可能となり、従来にない超低消費エネルギーで高速なコンピューティング基盤の実現が期待されます。

 本研究成果は、2019年4月15日(英国時間)に英国科学誌「Nature Photonics」のオンライン版で公開されます。

 本研究の一部は、科学技術振興機構(JST) CREST「集積ナノフォトニクスによる超低レイテンシ光演算技術の研究(研究代表者:納富 雅也)」の支援を受けて行われました。

<研究の背景>

 これまでCMOS(相補型金属酸化膜半導体)電子回路技術注1)によるコンピューティング基盤は、ムーアの法則注2)に沿って高性能化が進んできましたが、微細加工や集積密度の制約により電子回路による処理は速度と消費エネルギーの面で限界が近づいています。そのため、光技術を従来のような長距離信号伝送だけでなく、電子回路と連携したプロセッサチップ内の信号処理部にも導入し、光電子融合による新しいコンピューティング基盤を実現することが期待されています(図1)。

 このようなコンピューティング基盤を実現するため、レーザー光源や光変調器のような電気−光変換(E−O変換)や、受光器のような光−電気変換(O−E変換)を小型化・省エネ化することが必要です。また、光信号を非線形的に制御・変換できる素子が実現できれば、電子回路技術を超える高速な光信号処理が可能となります。そのため、E−O変換とO−E変換を組み合わせたO−E−O変換のような光非線形素子がこれまで研究されてきました。しかし、通常は非線形効果を起こすために強い光入力が必要なため、このような光非線形素子を小型化・省エネ化することは困難でした。

 歴史的には、O−E−O変換素子をはじめとするプロセッサ向けの光電集積素子は20年以上前から研究されてきましたが、素子のサイズや消費エネルギーが大きく、また動作速度も1GHzに満たなかったため、実用技術として確立されませんでした。根幹の原因は、E−O/O−E変換素子の電気容量(キャパシタンス)注3)が100フェムトファラド(fF)以上と大きいために、電気容量に比例する高い消費エネルギーが必要であり、またRC時定数注4)によって電気容量に反比例して動作速度が遅くなっていたことです。これらの課題を解決するためには、光電子集積の電気容量を抜本的に小さくする必要があります。本研究グループはこれまで、フォトニック結晶注5)と呼ばれる半導体ナノ構造を用いてさまざまな超小型光制御素子の研究を進めてきましたが、最近、この技術を用いることにより、極めて低容量の光電子集積が可能であることを見いだし、今回の成果を達成しました。

 ※以下は添付リリースを参照

 

 

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添付リリース

https://release.nikkei.co.jp/attach_file/0507730_01.pdf