「ゴーゴー」というエンジンが奏でる無機質な音と時たま揺れる振動の中、私はいま米国出張に向かう飛行機に乗っています。2015年のカレンダーを見返したり、当時の手帳に書き記したチェンジマネジメントに関わる出来事を読み返したりしていると、あの日々に戻ってしまう錯覚に陥りそうになります。

 そのくらい、当時に起こったことや誰かから言われたこと、自分が言ったこと、そして考えていたことや感じたことさえ、まるで昨日のように思い出せるのです。特に2015年8月28日のカレンダーに残っている「8月最後の金曜日の朝10時」のミーティングは、決して忘れることができません。この日はアカウントマネジメント部に在籍していて変革を受ける立場となるメンバーに、チェンジマネジメントでこれから進めていくことの目的や内容を共有するキックオフでした。

 その日は残暑が厳しく、とても暑かったからなのか、それともミーティングを無事に終えた自分の中に安堵感があったのか、びっしょりと汗をかいたシャツをその後のクライアントミーティングに赴く前に着替えたというメモが残っていました。

 その3日前に当たる8月25日のカレンダーには、経営陣との合意形成ミーティングのスケジュールが残っています。実はこのときのミーティングで得られた結果が、この後にチェンジマネジメントを展開するための大きな礎となっていたのです。

 そこで今回は、経営陣向け資料を作る過程を振り返りながら、チェンジモンスターの最初の一つである「アライメントの阻害」との戦い、つまり「経営層との変革の期待と我慢の合意形成への挑戦」について書いていきます。

チェンジモンスターの卵をかえさない方策とは

 まず経営陣との合意形成に至るまで準備をしていたころを振り返りたいと思います。

 前回書いた“凍り付いたチームミーティング”は、私が最初に参加した2015年8月上旬以降も同じ雰囲気で毎週続いていました。驚く必要はありません。そもそも私が参加する前からこの調子で続いていたのです。

 私はこのミーティングに参加するうちに、様々なチェンジモンスターを発見できました。

 ここで一つ、チェンジモンスターについて誤解を招かないように、きちんと伝えておきたいことがあります。それは「チェンジモンスターは人ではない」ことです。これはチェンジマネジメントに自身で向き合った経験のある方なら実感していることだと思います。

 つまり阻害要因=チェンジモンスターは、人々の志向や思考のギャップや防衛本能から生まれる発言と行動であり、それは人間であればとてもとても自然なことなのです。人を指さして「あのひとはチェンジモンスターだ」と言ったり、「あの人ってチェンジモンスターかもしれない」と思ったりすることは誤りです。その指さしている本人の発言や思考自体が、チェンジモンスターの卵になり得るからです。

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