前回は、改革対象となるアカウントマネジメント部のリーダーとのミーティングがきっかけになり、部内にチェンジモンスターが孵化(ふか)してしまったことを説明しました。いったん孵化してしまったチェンジモンスターを元の卵に収めることは非常に難しく、リーダーだけでなくメンバーの心の中にあった卵までを連鎖的に孵化させてしまいました。

 その後の私は、部内で何を言っても変わらない、何を始めようとしても進まない「泥沼の行軍」を、リーダーやメンバーからの「不安と不信の降りやまぬ矢」を浴びながら進めることになってしまいました。

 こうした状況の中で私は、どのような解決を図ろうとしたのでしょう。今回はこの話をします。

前提となるサブスクリプションとカスタマーサクセス

 解決策の話をする前に、私が携わったチェンジマネジメントでアドビが取り入れようとした「サブスクリプション」そして「カスタマーサクセス」について整理しておきます。サブスクリプションを簡単にいうと、商品やサービスのユーザーから、利用に応じて対価を徴収するモデルのことです。アドビも2012年以降、ソフトウエア提供形態を「パッケージ販売モデル」から「サブスクリプションモデル」へ転換しました。

 ではサブスクリプションビジネスで最も重視すべきこととは何でしょう。「それは契約更新(リニューアル)です」と回答する人がいたら、その誤りは正しておく必要があるでしょう。もしあなたが、カスタマーサクセスマネジャーやクライアントサクセスマネジャー、エンゲージメントマネジャーという肩書きの人物と仕事することがあったら「あなたの役割とビジネスゴールは何ですか?」と聞いてみてください。

 私がチェンジマネジメントを始めた2015年当時、アドビの日本法人は全世界で唯一、アカウントマネジメント部を「カスタマーサクセスマネジメント部」という部署名に変えることを許されていませんでした。当時のアカウントマネジメント部のゴールが「リニューアル」だったからです。本来のゴールは「カスタマーサクセス」でなくてはいけないはずでした。

 カスタマーサクセスとは、「顧客の成功にコミットする」ことです。顧客の成功とは、顧客が抱える課題のうち最大のインパクトがあるものを解決することです。

 具体的には直接・間接的にでも売り上げや利益などが向上すること、またはコストが下がることです。「顧客にとってのお客様の課題や社会課題を解決する」といった、さらに大きな成功にコミットする場合もあるでしょう。

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