システム開発プロジェクトで直面する問題の解決策は1つではありません。複数の対策を洗い出し、コストや手間が比較的小さいもの、効果を最大化できるものなど、最適な対策を見極めて実施する必要があります。

 問題への対策を考えるとき、既にある方法とは別の方法はないかを検討するときに有用な手法が「ゴールツリー」を使った目的展開です。ゴールツリーとは「目的・手段」の関係によって構造化したロジックツリーです。この構造を使って、実施したいことの目的を明確にし、さらにその上位の目的を考えていくことによって、視野を広げて、対策を考えることができます。

 ここでは、システム設計の遅れへの対策をゴールツリーを用いて考えてみます。

 設計遅れについて原因を分析した結果、根本原因はユーザーへのヒアリングの事前配布資料の説明に不備があることが分かったとします。資料の説明を修正すれば、別のプロジェクトで同じ問題が起こるのを予防できそうです。しかし、この資料は別のプロジェクトにまで使えるものではなく、ヒアリングの終了とともに不要となるものだとしましょう。そうなると、資料の修正にコストはかけたくはありません。そこで、資料の修正以外の対策を考えていきます。

 まず、事前配布資料中の説明を修正する」という対策が何のためかを考えてみます。それは何のためかというと、「資料を誤解なく理解してもらう」ためです。それは何のためかというと「ヒアリング前に意図を理解してもらうため」です。それは何のためかというと、「各部門のユーザーによる仕様確認を効率良く行うため」です。それは何のためかというと「全部門での仕様確認を効率良く行うため」です。

 このように、上位の目的をたどってそこから考え直すと、幅広く対策を検討できます。ヒアリング前に事前説明を理解してもらうためだけならば、資料の修正をしなくても説明会を開いて関係者全員に説明することが考えられます。

 各部門のユーザーによる仕様確認を効率良く行うためならば、ヒアリングすることなく、一部門で行ったヒアリング結果を整理して、仕様確認のための質問票を作成し、配布するといった工夫で効率化することが考えられます。さらに、関連部門からの要望を効率良く収集するためであれば、仕様確認の質問票を顧客責任者に渡して、確認結果を取りまとめてもらうことも考えられます。

 これを整理すると下の図のようなゴールツリーになります。より上位の目的から考え直すほど、思い切った発想の転換ができます。ただし、それまでの前提や合意をひっくり返してしまうことがあります。ですので、現実的な施策を導くためには、むやみに目的のレベルを上げすぎないように注意します。

ゴールツリーを使って上位の目的から考え直す
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