2009年に私は、EMS(生産受託)を主事業とするグループ会社の代表取締役社長に指名された。世界経済がリーマンショックの嵐に翻弄される中、同社の事業立て直しにまい進する。

 赴任が決まってEMS事業の実態を調べてみると、なんとEMS事業は製造業ではなく、サービス業であることが分かってきた。今回は、高級旅館を手本にした発想を取り入れて、当時のEMS事業を再生するまでを紹介する。

(写真と原稿内の工場に関係はありません)

初めて担当する生産現場

 当時の私が課されたミッションは、赤字が続いていたEMSを主事業とする会社の立て直しである。生産に関する事業には全くの門外漢だった私は、現地に赴任する前に「EMS」というビジネスを調べるところから着手した。

 一口にEMSといっても、スマートフォンの製造を一手に受託する台湾の超巨大企業から、数十人規模の中小企業まで規模は様々だ。その中で厳しい生存競争を勝ち抜くために、EMS事業の「軸」は何かを考えるところからスタートした。

 まず驚いたのが、EMSの業態分類だった。当然、製造業だと思って経済産業省の日本標準産業分類を見たが、「製造業」をいくら探してもEMSは出てこない。よくよく調べると「サービス業」のところに入っている。

 サービス業ということは、旅館や居酒屋や理髪店と同じグループとなる。オムロングループをはじめとするメーカー、つまりハードウエアを作る製造業とは全く別の位置付けになっている。

 ハードウエアを作るメーカーなのに、なぜサービス業に分類されているのか。確かに、EMSをそのまま読むと「Electronics Manufacturing Service」の略となる。「Service」と入っているから「サービス業」なのだろうが、どうもよく理解できない。

 ただ、製造業とサービス業では仕事への取り組み方が異なっていることが見えてきた。製造業なら当たり前の「QCD(品質、コスト、納期)を高める」という軸が、サービス業では変わってくるのではないか、そして赤字が続いているのは事業の「軸」がずれているからではないのか、と考えるようになった。

 それが「顧客の軸」なのか、それとも「時代の軸」なのかは分からない。とにかく現地へ行って様子を見るしかないなと思った。

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