IoTの普及により、身の回りの様々な機器がセンサーとの通信機能を備えるようになった。オムロンは新たな「事業の軸」として、センサーが集める膨大な情報(センシングデータ)に着目した。企業や業界の枠を越えて情報を自由に活用できる「センシングデータの流通市場」が立ち上がれば、そこに大きなマーケットを創出できると考えたからだ。

「IoT時代の楽市楽座」を創る

 ヘルスケアビジネスを立ち上げた私は、黒字化を終えた後にオムロン本社に戻った。新しい肩書きは、「IoT戦略推進プロジェクトリーダー」。IoTの進展を踏まえて、新たな「事業の幹」をデザインする役割である。

 着目したのは「センシングデータ」だ。近年、インターネットの高速化・大容量化とセンサー技術の小型化・高精度化が進み、IoTが普及してコモディティ化(生活必需品のように一般化すること)していった結果、ここから生まれるセンシングデータの情報量も飛躍的に増大していた。

 しかし、センシングデータを利用する環境はどうだろうかと考えてみた。IoTから生まれる情報量の伸びと比べて、実際に利用されている情報量の伸びは小さい。多くのデータが企業や団体に埋もれたままで、利活用の機会を失っていた。

 これまで紹介してきた自動改札や健康事業の経験から分かってきたように、業界を越えたオープン・イノベーションは新規ビジネスの創出に欠かせない。いまだ開拓されていない領域には、より大きなイノベーションを生み出す余地があるはずだ。

 様々な企業が自社の業界にとどまらず、垣根を越えて膨大なセンシングデータを自由に活用できるようになれば、そこに新たなビジネスチャンスが生まれるのではないか。そのためには、データを保有している側とそのデータを利用したい側をうまくマッチングさせる必要がある。

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