「法人向けのPCが買えない」。都内に本社を構える従業員1500人規模のある会社のシステム部長はこう話す。1~2台なら買えるものの、まとまった台数の一括購入だと調達が難しくなっているという。「PCの入れ替えができず、利用部門からクレームが入っている」と頭を抱える。

 2019年1月現在、法人向けPCが調達しづらくなっている。こうした状況が、2018年夏ごろから続いている。例えば、パナソニックは2018年9月にWebサイトで納期遅延のお知らせを掲載した。ユーザー企業の需要に対し、PCメーカーが提供できる量が足りなくなっている。米インテル(Intel)のCPUが供給不足に陥っているのが原因だ。PCメーカーがCPUの調達に苦戦し、十分な量のPCを製造できなくなっている。

パナソニックがWebサイトに掲載した法人向けPCの納期遅延のお知らせ
(出所:パナソニック)
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 CPU供給不足の理由について、インテル日本法人の土岐英秋執行役員常務技術本部本部長は「我々がもともと想定していた量より、需要の方がはるかに多かった」と説明する。需要が急増した背景には「Windows 10移行の受注が非常に好調」(レノボ・ジャパン広報)という事情がある。PCメーカーから殺到するCPUの注文に対し、インテルの生産が追い付かなくなった。

 オフィス業務の主役はPCだ。ユーザー企業の多くは2020年1月のWindows 7サポート切れに向けて、Windows 10のPCへの入れ替えを進めている。より直近の課題としては、2019年4月に入社する社員のPCをそろえないといけない。PCの需要が旺盛にもかかわらず、入手できない。1993年に発生した「平成の米騒動」と呼ばれる米不足問題をほうふつとさせる状況が、平成最後に法人向けPCの調達で起こっている。

国内メーカーで不足が顕著か

 「一切買えないというわけではなく、納期が遅延したり、注文しても納期の回答を得られなかったりする状況になっている」。あるコンピューター販売会社の幹部はこう明かす。同幹部は「2018年6月に、PCメーカーで『インテル製CPUの入荷スピードが落ちている』『供給不足に陥る可能性がある』という話がささやかれ始めた。同年8月に予定通りに納入できないPCメーカーが出てきて、現在もその状況が続いている」と話す。

 日経 xTECH編集部が法人向けPCのメーカーに問い合わせたところ、回答を寄せたどのメーカーでも納期遅延が発生していることが分かった。

法人向けPCの納期遅延の状況
VAIOと日本HPは納期遅延の有無について「回答を控える」とした。NECパーソナルコンピュータとレノボ・ジャパンは2社まとめての回答
メーカー納期遅延の有無影響を受けた機種やCPU遅延期間
Dynabook(旧東芝クライアントソリューション)遅延あり第6/第7/第8世代CPUで影響があった。現時点では、特に第7世代CPU、第8世代CPUの供給がひっ迫している回答を控える
NECパーソナルコンピュータ/レノボ・ジャパン遅延あり一部の機種CPU供給のタイミングが遅れることもあり、一概に遅延の状況をコメントできない
デル遅延ありノートPCもデスクトップPCも納期遅延の大半は第8世代CPUで発生しているCPUにもよるが、通常よりも納期が2週間程度遅くなっているケースが多い
パナソニック遅延あり一部の機種で若干納期が遅くなっている。2018年9月時点よりは改善している顧客ごとに日程調整しているので、遅延期間は回答できない。2018年9月時点よりは納期の提示も改善している
富士通クライアントコンピューティング遅延あり回答を控える回答を控える。CPUが供給され次第、製品を出荷している

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