「B2Bマーケティングを全社員700人のDNAに組み込む」――。2017年7月に通信事業者アルテリア・ネットワークスのCEO(最高経営責任者)に就任した川上潤は、就任2カ月後にこう発言しました。今回は、全社ミーティングでプロジェクト導入を宣言したのち、社内エバンジェリストチームが発足するまでの軌跡をたどります。

 アルテリアのB2BマーケティングをDNAに組み込むプロジェクトは、「『マーケティング』とはお客様が必要とする価値や成果と、我々の会社/社員の努力を結び付けるための活動の全て」と定義するところから始まりました。マーケティングに関わる活動は全てが上記の目的を達成するためのものであり、逆に上記の目的を達成するものであれば全てをマーケティング活動とすることにしたのです。

 例えばこの連載記事で私は、「上記の目的を満たしているのか?」「満たしているとすれば、そこでの会社/社員の努力は何であるのか?」「お客様が必要としている価値、成果を満たしているのか?」――。そのようなことを自問しながら連載を進めています。

 では全社キックオフの場で、CEOの川上がB2Bマーケティングを全社員のDNAに組む込むことを宣言した後はどうだったでしょう。まずキックオフ直後のアンケートからは、社員の中に期待感が高まっていることがうかがえました。

 しかしながら、社員がすぐに宣言の趣旨を理解して、具体的な動きを社内のあちこちで始めるとは当初から予想していませんでした。社員の大多数に「まだ何がはじまるのかよく分からない」という意識があったとしても、それは無理もないと考えていました。

 そこで事前のコミュニケーション戦略どおり、経営会議メンバー間の対話から具体的な活動を始め、その後で実務チームの結成を目指すことにしました。

 この後は前回記載したとおり、役員間でマーケティングに対する意識の足並みをそろえ、2017年11月に役員オフサイトミーティングでプロジェクトを承認するという段取りで進めました。役員は新しい知識を得るというよりも、自身の知識や経験を棚卸しして、アルテリアの役員としてB2Bマーケティングに向かい合う方向性をそろえることを一義的な目的としました。

 その時に使った進め方は「反転学習」と呼ばれる方法です。反転学習とは、受講者がファシリテーターが提示するマーケティングに関する諸課題をまず読み、その課題に関する考えや行動計画などをオンライン上で議論し、意識を共有するものです。学習が先にあってその後に講義(議論)があるという、通常の学習とは順序が逆転するため反転学習と呼びます。

 アルテリアの役員が学習した課題は、「なぜB2Bマーケティングが経営に必要なのか?」、「お客様の成果を最大化するとは」といったテーマでした。

 以下はその議論の進行役となったファシリテーターと、川上および松田(私)のオンライン上の議論の例です。このときの課題は「日本流のマーケティング?」というものでしたが、私はここからB2Bマーケティングを導入する際の「インサイドセールスについて」質問しました。当時のやり取りを基に、分かりやすくなるよう文章に手を加えていることをお断りします。

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