本連載では、デジタルマーケティングに長年携わってきた上島千鶴氏(Nexal)と熊村剛輔氏(セールスフォース・ドットコム)に、日本のBtoBデジタルマーケティングに関わる「なかなか言いづらい本音」を対談形式で聞いている。

 第2回目の今回は、企業の営業部門とマーケティング部門の再構築に当たって、その両者をつなぐ部署が果たすべき役割と最適な呼び方について議論している。

(聞き手は松本 敏明=日経 xTECH Active)


MA(マーケティングオートメーション)を導入する企業が日本でも増えていますが、それを前提とした課題も見えてきているのではないでしょうか。

上島:BtoB企業では現在、MAツールにリードデータを蓄積していますが、いまだにフリーメールのアドレスが多くあります。

 フリーアドレスを使うということは、そのお客さまの意識はまだ商談からは遠いということになります。資料をダウンロードする際に、会社のドメインが付いたアドレスを入れるのではなく、自分はどこの誰であると名乗らない状況なので、購買マインドは低いと判断できます。

 個人向けの商品はともかく、BtoBなら企業ドメイン付きのアドレスを増やしていかないと、社内評価が分かれますよね。フリーアドレスから企業アドレスへの転換など、もう一手が必要かと。

熊村 剛輔 セールスフォース・ドットコム ビジネス コンサルタント / エバンジェリスト
プロミュージシャンからエンジニア、プロダクトマネージャー、オンライン媒体編集長などを経て、大手ソフトウエア企業のウェブサイト統括とソーシャルメディアマーケティング戦略をリード。その後広報代理店のリードデジタルストラテジストおよびアパレルブランドにおいて日本・韓国のデジタルマーケティングを統括後、クラウドサービスベンダーにてエバンジェリストとなり現在に至る。2018年5月から現職。日経 xTech Activeで「一頭地を抜くデジタルマーケティング」を連載中。ITproでの連載から続けて6年以上、ほぼ毎週記事を執筆している。(撮影:新関 雅士)
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熊村:そうですね。どうみても法人向けの製品やサービスなのに、会社のドメインが付いたアドレスではなく、個人用のアドレスを使って情報を仕入れようとする時点で、顧客になるまでの道のりは遠いといえるでしょう。

 ここでいきなり自分の会社のメールアドレスを登録したら、その後にどうなるか想像がつきます。まだ静かに検討している段階であって、もしかしたら会社としては検討していないけれども、個人として興味がある段階で、激しくアプローチされたくないから個人のアドレスを入れるわけじゃないですか。

上島:でもデジタルをやっている現場の人たちはリード獲得数で評価されるので、フリーアドレスかどうかは構わずに、水増しした状況で報告する傾向があります。そうなると、いかにもたくさんの見込み客がいるように見えますが、実態はその半分以下くらいといったギャップが生まれてしまいます。つまり「リードの内訳」が必須なのかと。

 最近、マーケティングから営業までのプロセスは、大きく三つに分かれてきたように思います。コーポレートブランディングやデジタルマーケティングなど全体的なマーケティング設計をしている人たちと、インサイドセールスや「SDR(セールスデベロップメントレプレゼンテイティブ)」などの非対面でサポートや営業する人たち、そして最後は対面で商談を進める営業という三体制です。

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