アルゴリズムは「何らかの問題を解決する手順」を指し、アルゴリズムの良しあしでソフトウエアの性能が決まってくる。私たちの生活は、高度なアルゴリズムで実装されたソフトウエアに支えられている。そこで本特集ではエレベーターや信号機といった身近なアルゴリズムを例に、その一端を見ていこう。今回は、最新の信号機のアルゴリズムを紹介する。

 前回は、信号機の青時間を決定するアルゴリズムを説明した。いくつかの交差点を群という単位で管理し、最適なサイクル長やスプリットを算出している。今回は、今後普及が進みそうな近未来のアルゴリズムを紹介しよう。

 前回説明した信号機のアルゴリズムは、日本が1995年に導入しれた「MODERATO(Management by Origin-DEstination Related Adaptation for Traffic Optimization)」というシステムをベースにしている。MODERATOは、車両感知器で得られた過去数分間の計測データを基に、各交差点群で最適なサイクル長やスプリットなどを割り出している。

 ところが、この方法は「急激な交通量の増減に追従するのが難しい」(住友電気工業 自動車事業本部 システム事業部 新事業企画部 小林雅文 製品規格グループ長)という問題がある。さらに、車両感知器が設置された重要交差点の交通量は計測できるが、その他の交差点の交通量は簡単に把握できない。

 このような問題に対応するため、現在では様々なアプローチが考えられている。ここでは、代表的なプロファイル信号制御と、高度化光ビーコンを利用した最適化の2つを説明する。

 プロファイル信号制御は、車両感知器が数秒後または数分後に、どれだけのクルマがやって来るかの情報を信号機に伝え、信号機が自律して交通量に応じたサイクル長やスプリットに変更する方式だ。交通管制センターを介するよりも、交通量の増減に迅速に対応できるメリットがある。

プロファイル信号制御の仕組み
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 ただしプロファイル信号制御は、1台の信号機が自律して動くので、群単位で時間差を調整していたオフセットがずれてしまう。隣り合う信号機で青に変わるタイミングがずれると、渋滞の原因にもなり得る。そこでプロファイル信号制御では、交通管制センターと信号機が協調する「ハイブリッド方式」と、中央制御を必要としない「端末自律方式」の2つを採用している。

 ハイブリッド方式は、交通管制センターが各交差点群に制約条件(オフセットは10%未満など)を設定し、制約条件を満たすように信号機自身が調節する。一方の端末自律方式は、隣接交差点とのオフセットに制約条件を持たせて、その条件を満たすように信号機が調節するというものだ。

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