アルゴリズムは「何らかの問題を解決する手順」を指し、アルゴリズムの良しあしでソフトウエアの性能が決まってくる。私たちの生活は、高度なアルゴリズムで実装されたソフトウエアに支えられている。そこで本特集ではエレベーターや信号機といった身近なアルゴリズムを例に、その一端を見ていこう。今回は、最新エレベーターのアルゴリズムを紹介する。

 前回は、エレベーターに使われているアルゴリズムの基本を解説した。主に「長待ち率」と「平均待ち時間」を考慮してアルゴリズムが作られていることが分かっただろう。最新のエレベーターは、これに加えてより最適な配車を目指し、アルゴリズムにも工夫を凝らしている。

 その代表が、時間帯を考慮したアルゴリズムだろう。エレベーターは一般に、時間帯によって利用状況が異なる場合が多い。例えば朝の出社時間帯はロビーから上位階に昇る人が増える一方、終業時間帯は上位階からロビー階へと降りる人が増える。こうした状況を無視して全ての時間帯で同じアルゴリズムを使っていれば、当然、エレベーターの到着が遅れる問題が発生する。

 そこで最近の高機能エレベーターでは、シミュレーションによって5分後の利用状況を予測するアルゴリズムを採用している。これは5分後に何階からどのぐらいの人が乗車し、どの階で降りるかをシミュレーションし、エレベーターの配車を最適化する技術だ。この技術を使うと、例えば5分後にロビー階から上位階に昇る人が多くなるので、あらかじめロビー階にカゴを待機させておく、といった配車が可能となる。

 では、どんなアルゴリズムになっているのか。まず、エレベーターの稼働状況に関するデータをリアルタイムに取得する。データとは、乗降階やカゴの台数などだ。次に、あらかじめ用意された数種類の配車ルール(パターン)に対して、取得したデータをパラメーター化して与える。このパラメーターによって配車ルールは停止階数やカゴの偏り具合などが重み付けされ、それぞれ長待ち率と平均待ち時間を評価する。最後に、数種類の配車ルールの中から、長待ち率と平均待ち時間が最小になるものを選び、実際の運行ルールに適用する。配車ルールの適用は、5分間隔で行う仕組みだ。

いくつかのルールから最適なものを選ぶ
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 あらかじめ用意された配車ルールの数や内容は、エレベーターによって異なる。オフィスビルと商業施設、高層階と中低層階でも異なる。それでも配車ルールを適用するまでのアルゴリズムはほぼ同じだ。このアルゴリズムを用いれば、時間帯に合った最適な配車を実現できる。

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