サーバー市場で再び米AMDの存在感が増してきた。同社が投入したサーバー向けプロセッサー「EPYC」が、Xeonに対して高い競争力を持っているためだ。2019年にAMDは製造プロセスを刷新した第2世代EPYCを予定している。

 米AMDは2003年にリリースした「Opteron(オプテロン)」で、米インテル(Intel)に先駆けて後の64ビットアーキテクチャー(AMDの呼び方ではAMD64、インテルではIntel 64)に対応したことで、大容量のメモリーを必要とする顧客に受け入れられ、一時はサーバー市場で数十%の市場シェアを獲得するほど躍進した。しかし、2010年代にCPUのアーキテクチャーを変更したところ、性能面での競争力が低下。最終的にはx86サーバー市場でのシェアは1%を切り、ほぼ市場シェアを失った状況になってしまった。

1%以下だったAMDのシェア、EPYCで復活基調

 そこで、AMDは新しいCPUアーキテクチャーとして開発コード名「Zen」を開発した。Zenはそれより前のAMDのCPUアーキテクチャーとは異なり性能向上に注力しており、条件次第ではインテルの同クラスのCPUを上回る性能が得られるようになった。AMDはZenをベースにして消費者向けに「Ryzen(ライゼン)」を投入。デスクトップPC市場では、インテルから徐々にシェアを奪うほど人気を集めている。

 そのRyzenをベースにして開発されたのがサーバー向けの「EPYC(エピック)」だ。

 AMDがEPYCで採ったアプローチはユニークだが、非常に現実的だ。EPYCでは、Ryzenでも使われているプロセッサーダイ(ダイは半導体本体のこと)を、1つのパッケージ上に複数実装したのだ。Ryzenが採用したダイは1個で8個のCPUコアを内包している。2個のダイを載せると16コア、4個のダイだと32コアのプロセッサーが製造できる。

AMDのEPYC、4つのダイ(半導体本体)を1つのパッケージに統合している。
(撮影:笠原 一輝)
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 これにより、AMDは最大32コアCPUを低コストで製造することが可能になった。ダイは面積が大きくなるほど歩留まり(良品率)が下がるため、製造コストが上昇する。しかし、AMDが採用した手法(MCM:Multi Chip Module)では、一つずつは比較的小さなダイとして製造できるため、32コアCPUを単一ダイで製造するのに比べてコストを下げられる。

 また、RyzenのCPUダイはそれぞれがメモリーコントローラーを備えており、32コアのEPYCではメモリーチャンネル(系統)が8本になる。メモリーの広帯域化、大容量化をしやすい構造だ。

 EPYCの登場によりAMDは息を吹き返した。米国の調査会社マーキュリーリサーチが発表した、2018年第4四半期のサーバー市場におけるAMDのシェアは3.2%。前年同期比で2.4ポイントのアップとなっている。2017年第4四半期のシェアが0.8%だったことを考えると、EPYCの投入でAMDが復活基調になったことが明白だろう。

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