チャットボットや音声アシスタントとの“対話”でシステムを操作する「対話型UI」が、1年ほどの間にユーザー企業の採用が急速に広がっている。

 例えば日本テレビは2017年7月、テレビドラマ「過保護のカホコ」の主人公を模したチャットボットによる対話サービス「AIカホコ」を、「LINE」のチャット機能を応用して開始した。ユーザーが送信したメッセージに、ドラマの主人公のような雰囲気で受け答えをすることが、ユーザーの人気を集めた。

 一般的なコミュニケーションだけでなく、自社の業務の効率化に役立てる事例も増えている。例えばヤマト運輸は再配達依頼を自動で受け付けるシステムに、LINEのチャットボット機能を2016年から活用中だ。

 社内業務の一部にチャットボットを取り入れる企業も出てきた。人材派遣大手のパソナグループは2017年6月、社内システムのサポートデスク業務にチャットボットを導入。そのほかの業務効率化の工夫と合わせて、2017年6月21日~7月20日にサポートデスクで人が応対する件数を、前年同期比で32%減らす成果を上げた。同社のグループIT統括部に所属する椎名司ビジネス推進グループ長は「将来は、本業である派遣スタッフからの問い合わせ窓口にも適用したい」と話す。

ユーザーが操作に慣れている

 チャットや音声を利用する対話型UIが広がる主な背景は2つある。(1)エンドユーザーが操作に慣れていることと、(2)人工知能の進化である。

”対話”でシステムを操作するUIの採用が広がる主な背景
[画像のクリックで拡大表示]

 (1)は、「LINE」など、既存のチャットアプリケーションをUIとして利用するため。個人利用のスマートフォンで使い慣れている分、操作方法を学習する時間は少なくて済む。

 自然言語を利用する点も、操作を覚える手間の軽減に役立つ。例えば、画面に並ぶたくさんのメニューボタンのどれを押せばよいのかなど、ユーザーが迷わなくて済む。

 アイレットの比企宏之cloudpack事業部セクションリーダーは、「システムの開発側からすると、スマートフォンに新しいアプリを導入してもらう手間を省けるメリットが大きい」と指摘する。比企氏は毎日放送が2017年8月に公開したチャットボット「おしゃべり らいよんチャン」のシステムの開発を担当した。いかに画期的なサービスやアプリでも、導入し、利用してもらって初めて効果が出る。手慣れたUIで、利用のハードルが大きく下がるわけだ。

人間に近い受け答えが可能に

 一方、(2)の人工知能の進化という側面も見逃せない。自然言語による対話では、表現に曖昧さや揺れがつきまとう。曖昧な表現でもユーザーの意図をくみ取って適切に応答する必要がある。

 この課題を克服する技術として、人工知能の一種である機械学習の利用が進んでいる。以前よりも低コストで大量のデータを学習させる環境が整い、機械学習で対話の意図を識別する精度が高まった。その結果、以前よりも人間に近い受け答えができるようになった。

 人間に近い受け答えが可能になり、用途が広がった。例えば、人間の代わりにチャットボットや音声アシスタントが自動応答するシステムを構築しやすくなった。問い合わせの応対業務を置き換えれば効率化につながる。これに、パソナグループのように働き方改革を推進するユーザー企業が注目したわけだ。

次ページ以降は日経 xTECH Active会員(無料)の方のみお読みいただけます。