高速なデータウエアハウスや機械学習、コンテナ技術やサーバーレス──。自社サービスで培った先端技術を武器に、米Googleのクラウドサービス「GCP(Google Cloud Platform)」が企業システムをターゲットに捉えた。先端技術で他を圧倒するGoogle。ゲームやネット企業から一般の企業ユーザーへ利用を広めるGCPのエンタープライズシフトは、AWS(Amazon Web Services)やMicrosoft Azureといった競合にとっても、SIやユーザーにとっても見逃せない動きだ。

 「Google検索やYouTubeなど、10億ユーザーが利用するGoogleサービスが動いているインフラを、そのまま提供するのがGCP」。グーグル・クラウド・ジャパンの塩入賢治 Google Cloud 事業本部長は、GCPの特徴をこう語る。「規模の経済を得られるだけでなく、Googleが生み出す新サービスをスピード感を持って活用できる」。

 Googleはこの3年間で294億ドル(1ドル=110円換算で約3.2兆円)の研究開発費を投じ、GCPサービスなどを拡充。エンタープライズシフトの土台を固めてきた。2017年3月には欧州SAPと戦略提携を発表し、GCP上のインメモリーデータベース「SAP HANA」が稼働認定された。「高度なデータ分析」「コンテナ技術で先行」「Google App Engine(GAE)による高速開発」の3つの側面から、GCPの強みを見ていこう。

 GCPが提供するサービスは、ComputeやStorage、NetworkingやDataといったカテゴリーに30近くが並ぶ。システム構築に必要な基本サービスの品ぞろえは、AWS(Amazon Web Services)やMicrosoft Azureに引けを取らない。

写真●GCPが提供するサービス
(出所:Google)
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 Googleの先進性が表れているのが、ユーザーによるサーバーの準備が不要で、リソースを自動拡張して処理するマネージドサービスだ。中でもデータウエアハウス「BigQuery」の人気は高い。ユーザーのSQLに対して、BigQueryはGCP内のコンピュータリソースを迅速に割り当て、高速に処理して結果を返す。対抗馬の「Amazon Redshift」に比べ、高速かつ安価であるとする。

BigQueryきっかけに機械学習へ

 Googleのエンタープライズシフトの先鋒がデータ活用の分野だ。BigQueryによるデータ分析をきっかけに機械学習に導き、GCPに深く引き込む狙いである。「データ分析はGoogleのバリューと感じている。クラウドは単に既存システムを置き換える場ではない」(塩入氏)。機械学習関連サービスとしては、Googleのアルゴリズムを使う「Speech API(音声・テキスト変換)」や「Vision API(画像認識)」などを用意。Googleがオープンソースとして公開する機械学習ライブラリー「TensorFlow」を使いユーザーが独自開発した場合、「Cloud Machine Learning」が処理を自動拡張するなど、効率良くデータ分析できるのがメリットだ。

 データ活用分野の注目株が、フルマネージドのリレーショナルデータベース「Cloud Spanner」である。オンライントランザクション処理(OLTP)をサポートし、スケールアウトにより自動で分散処理する。Googleの中でも比較的シビアな性能要件で利用されているサービスで、日本でも何社かが採用を検討しているという。

 サーバーレスアーキテクチャーでもGoogleは先行している。ここにきて 「Amazon Lambda」や「Microsoft Azure Functions」といったサーバーレスアーキテクチャーに注目が集まる中、プログラム実行基盤であるGAEが改めて評価されている。Node.jsやJava、RubyやPython、PHPなどでアプリを開発すれば、リソースを自動拡張しフルマネージドで実行してくれるGAEの登場は2008年にさかのぼる。「メルカリや任天堂が利用するなど、運用負担を軽くしたいと考えるユーザーを中心に今年に入って注目が高まっている」(塩入氏)。

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