「クラウド」という言葉の意味は、改めて何か? と疑問に思うこともないほど世の中に浸透している。IT分野において、「クラウド」とは「クラウドコンピューティング」の略称であり、インターネットを経由して、コンピュータが行う処理や資源をサービスの形で提供する利用形態のことを指す。

 「クラウドコンピューティング」形態で提供されるサービスは、クラウドサービスと呼ばれる。SalesforceやOffice 365をはじめ、さまざまな事業者から次々とクラウドサービスが登場し、企業におけるクラウドサービスの利用が広がっている。

 ここで、企業におけるクラウドサービスの利用動向を総務省の平成28年通信利用動向調査から見ておこう。この調査は平成28年(2016年)11月から12月にかけて実施したもので、全国の従業員100人以上の企業4133社を対象とし、有効回答数は2032社であった。

 「平成28年通信利用動向調査」によると一部でもクラウドサービスを利用している企業の割合は2016年で約46.9%に達し、そのうち最も多く利用されているサービスが「電子メール」で51.7%、次いで「ファイル保管・データ共有」が50.7%、「サーバ利用」が46.7%となっている。そのほかのサービスで比較的多いのが「社内情報共有・ポータル」「スケジュール共有」「データバックアップ」「給与・財務会計・人事」あたりだ。これらは、クラウドサービスの分類の一つとしてSaaS(Software as a Service)と呼ばれる。

 クラウドサービスを利用している理由は「資産、保守体制を社内に持つ必要がないから」が40.9%と最も多く、次いで「どこでもサービスを利用できるから」、「安定運用、可用性が高くなるから(アベイラビリティ)」と並び、主に機能とコストの両面からの理由が挙げられている。これに対し、クラウドサービスを利用していない理由は「必要がない」が47.3%と最も多く、次いで「情報漏えいなどセキュリティに不安がある」と「クラウドの導入に伴う既存システムの改修コストが大きい」と並ぶ。

クラウドサービス利用における課題とは

 さて、この調査結果をどう見るだろうか? まず、クラウドサービスを利用している企業が46.9%というのは、意外と少ないという印象ではないだろうか。事業内容や業務内容によっては本当に必要がない場合もあるだろう。しかし、会社や情報システム部が「必要ない」と判断したとしても、事業部門や担当者は「必要」と考えているかもしれない。クラウドサービスのメリットの一つとして導入の容易さが挙げられる。業務効率化のために、会社や情報システム部の許可なくオンラインストレージやチャットツールなどのクラウドサービスを利用することは簡単だ。いわゆる「シャドーIT」である。「情報漏えいなどセキュリティに不安がある」ためにクラウドサービスを会社として導入していない場合も「シャドーIT」により、よりセキュリティに不安がある状況を作り出してしまうかもしれない。

 このように、クラウドサービス利用における課題の一つとして、会社としての管理・統制が及ばなくなる可能性がある点が挙げられる。会社としての管理・統制が及ばないということは、どこでどのような情報が流通しているのか管理できず、情報漏えい事故が起きやすいだけでなく、事故が起きたことを把握すること自体が難しい。

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