eコマースでは、売り上げ拡大やKGI(重要目標達成指標)達成のために継続的に取り組む課題が二つある。一つは、新規顧客を獲得し顧客数を増やすこと。もう一つは、既存顧客を維持し、その購入単価や頻度を上げることだ。

 新規顧客の獲得(アクイジション:Acquisition)と既存顧客の維持(リテンション:Retention)の効率を高めかつ効果的に実践するか――。これらの解決がeコマース事業では必須だということは、既に認識が広まっているだろう。

 本連載では前回、『eコマースでは、「しかるべき時に、しかるべきコンテンツを、しかるべき接点で顧客に情報を届ける」といった売り方が主流になりつつある』と書いた。この売り方は、いわゆるOne to One 型のマーケティングであるが、これらを実践するにはデータ活用が必須となる。

顧客獲得のためのデータ活用

 A社が運営するECサイトを例にデータ活用について考えてみよう。A社ではメールを配信する会員数の伸び悩みが課題となっていた。

 過去10年でA社は30万人近いメールマガジン会員を集めていたが、そこから会員数が伸びないまま。そこで、ECサイトへの会員獲得10万人増をゴールに据えてデータを分析した。

 すると、キャンペーン実施時にWEB広告からの流入が多かったことと、公式アカウントがない状態にもかかわらずSNS経由のアクセスが徐々に増加していたことという二つの課題が浮かびあがってきた。

 そこでA社は、(1)リスティング広告やアフィリエイト広告の出稿を強化する、(2)Facebook、Instagram、Twitter、LINE(※LINEはLINE@を利用)といったSNS公式アカウントを開設しアピールする、という施策を実行した。

 結果は、SNSの中でもLINE@の反応が顕著で、わずか1年間で友達登録が20万人となった。1年間で20万人のユーザーとの接点ができたのである。

 この事実を受け、A社の担当者はLINEを使ったコミュニケーション強化を目指し、「LINE@」から「LINE公式アカウント」に移行。ここで会員登録増加策を進めることにした。今ではLINE公式アカウントに友達登録したユーザーは400万人を超えている。

 しかもそのうちの20%はLINE経由でECサイトに訪問し、商品を購入している。結果としてサイトの売り上げも増加したのだ。

 さらに顧客分析を進めると、既存のメールマガジン会員が10代後半から20代前半が7割を占めていたことが分かった。その一方で、LINE会員は年代の偏りがなく、今までとは異なる属性の会員が集まっているという事実も判明した。会員情報のほかに購入履歴を分析したところ、30代が突出して商品を多く購入していた。

 そこで次の施策として、商品を購入した30代のユーザーによく似た行動特性や属性を持ったユーザーへの最適なアプローチを検討し始めた。「3rdパーティーデータ」を蓄積・分析できるパブリックDMPを導入することを決めた。

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