米Maxim Integrated(マキシム・インテグレーテッド)社は、小型スピーカー(マイクロスピーカー)における音量や音圧レベルを定格出力の最大2.5倍に高められるオーディオD級アンプIC「MAX98390」を発売した(ニュースリリース)。同社によると、「民生機器の小型化を背景に、マイクロスピーカーの採用が進んでいる。しかし、スピーカーを小型化すると共振周波数が上昇するため、音量や音圧レベルが低下すると同時に、低音の減少につながる」という。音量や音圧レベルを高めるためにマイクロスピーカーを強く駆動すると、振動幅や発熱量が大きくなりすぎて損傷してしまう。

 そこで今回発売したICでは、「IV(電流、電圧)検出機能と同社独自のDSM(Dynamic Speaker Management)アルゴリズムを使うことで、定格以上の電力で駆動しても過剰な振動幅と発熱量が発生することを防止し、マイクロスピーカーでもより高い音量や音圧レベル、低音の音量を得られるようにした」(同社)としている。具体的には、定格出力電力が1〜3Wと低い小型スピーカーでも、最大5.1Wと高い出力が得られる。さらに低音については、共振周波数よりも最大2オクターブ低い音が出力できるようになる。具体的な応用先は、スマートフォンやタブレット端末、ノートパソコン、IoT対応機器、電子玩具などを挙げている。

小型スピーカーの音量を2.5倍に高められるD級アンプIC、Maxim Integrated写真
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 D級アンプ回路のほか、制御回路やオーディオインターフェース回路、D-A変換器、昇圧型DC-DCコンバーター回路などを集積した。電源電圧範囲は+2.65〜5.5V。1セルのLiイオン2次電池による駆動を想定する。昇圧型DC-DCコンバーター回路の出力電圧は+6.5〜10Vの範囲において、0.125V ステップでユーザーが設定できるため、より高い音量や音圧レベルが得られるようになる。出力電力は、全高調波歪み+雑音(THD+N)が1%のときに5.1%(8Ω負荷接続時の標準値)、THD+Nが10%のときに6.2W(8Ω負荷接続時の標準値)。出力電力が1WのTHD+Nは0.01%(8Ω負荷接続時の標準値)。出力雑音電圧は9μV(標準値)。0.45W出力(8Ω負荷接続)のときに効率は86%が得られるという。

 オーディオインターフェースは、I2Sや、左詰め、16チャネルTDMに対応する。エッジレートやオーバーシュートを制御する回路を搭載しているため、放射電磁雑音(EMI)を抑えられるという。バーンアウト保護機能やクリック/ポップ音抑制機能、短絡保護機能、過熱保護機能などを搭載した。自己消費電力は約24mWと少ない。「業界最小の消費電力」(同社)という。パッケージは38端子WLP。動作温度範囲は−40〜+85℃。米国での参考単価は1.95米ドルである。このほか、小型スピーカーの特性評価に向けたGUIツール「DSM Sound Studio」を用意した。これを使えば、設計時間を大幅に削減できるとしている。