米Analog Devices(アナログ・デバイセズ)社は、バイオセンサーや電気化学センサーに向けたアナログ・フロント・エンド(AFE)IC「AD5940」を発売した(ニュースリリース)。ポテンショスタット機能と電気化学インピーダンス分光(EIS:Electrochemical Impedance Spectroscopy)機能の両方を実現するために必要なアナログ・フロント・エンド回路を1チップに集積した。特徴は、大きく分けて3つあるという。1つめは、外付けセンサーの動作診断などに向けたアナログ・ハードウエア・アクセラレーターを搭載したこと。2つめは低雑音の測定が可能なこと。3つめは、消費電力が低いため、常時オンのウエアラブル機器への搭載が可能なことである。さらに、ディスクリート部品で構成した場合に比べると、測定精度を高められると同時に、1チップで2線式や3線式、4線式のセンサーに対応できる設計柔軟性が得られるとしている。具体的な応用先には、工業用ガス検知装置や、液体分析装置、バイタルサイン監視装置、電気化学インピーダンス分光装置、疾病管理用バイオ/電気化学センサーなどを挙げている。

バイオ/電気化学センサーに向けたAFEチップ。Analog Devicesのイメージ
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 最大サンプリング周波数が800kサンプル/秒の逐次比較(SAR)型16ビットA-D変換器や電圧出力型D-A変換器、12ビット分解能のバイアス電圧出力回路、電気化学センシングに向けた低雑音のポテンショスタットアンプ、低雑音のトランス・インピーダンス・アンプ、広帯域で高速動作が可能なトランス・インピーダンス・アンプ、アナログ・ハードウエア・アクセラレーター、基準電圧源などを1チップに集積した。16ビットA-D変換器は、電圧測定と電流測定、インピーダンス測定のいずれにも対応できる。入力電圧範囲は±1.35V。電圧出力型D-A変換器の出力電圧範囲は0.2〜2.4V。低雑音のトランス・インピーダンス・アンプは電流出力で、その範囲は50p〜3mA。広帯域で高速動作が可能なトランス・インピーダンス・アンプの入力周波数帯域は0.015Hz〜200kHz。基準電圧源の出力電圧は2.5Vもしくは1.82Vである。

 アナログ・フロント・エンド回路の動作シーケンスのプログラム格納や、データFIFOに向けた6KバイトSARMを搭載した。ポテンショスタットとして動作させた際の消費電流は6.5μAと少ない。電源電圧範囲は+2.8〜3.6V。パッケージは、実装面積が3.6mm×4.2mmの56端子WLCSP。動作温度範囲は−40〜+85℃。すでに量産出荷を始めている。1000個購入時の米国での参考単価は4.17米ドルである。