ルネサス エレクトロニクスは、放射線耐性を備えた16チャネル出力の電流ドライバーIC「ISL2814SEH」を発売した(ニュースリリース)。電流ドライバーの最大出力電圧は+42Vで、最大出力電流は700mAである。RF導波路スイッチやRF同軸スイッチ、リレー、ソレノイド、スラスターなどの駆動に向ける。具体的な応用先は、中軌道(MEO)や静止軌道(GEO)、高軌道(HEO)、深宇宙にむけた宇宙通信衛星や宇宙探査機を挙げている。同社によると、「宇宙通信衛星には、1500個を超えるRFスイッチが搭載されている。発売したICは、16チャネルの電流ドライバーICを集積したため、部品点数を削減することが可能になる」としている。

放射線耐性を備えた16チャネル出力の電流ドライバーIC。ルネサス エレクトロニクスのイメージ
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 特徴は、4ビット入力で、16ビット出力のデコーダーを搭載したことである。マイコンから4ビットの信号を入力することで、16チャネル電流ドライバーのいずれかを選択したり、すべての電流ドライバーを無効にしたりすることができる。1本の信号で1チャネルの電流ドライバーを制御する場合に比べると、部品点数や端子数、基板上の実装面積を削減することが可能だ。デコーダーへの入力信号レベルはTTL/CMOS互換で、一般的なマイコンやFPGAなどを接続できる。

 電源電圧範囲は+3〜13.2V。電流ドライバーの出力段はオープン-エミッターのPNPトランジスタで、飽和電圧は500mA出力時の1.35V(最大値)と低い。イネーブル時のターンオン時間は5μs(最大値)。ディセーブル時のターンオフ時間は15μs(最大値)。クランプダイオードを集積したため、誘導性負荷の駆動時に発生するサージに向けてクランプダイオードを集積した。

 製造プロセスは、同社独自のSOI(Silicon On Insulator)技術「PR40」である。放射線耐性は、高線量率(HDR)のときに100krad(Si)、低線量率(LDR)のときに75krad(Si)を確保した。シングルイベント効果(SEE:Single Event Effect)については、線エネルギー付与(LET:Linear Energy Transfer)が最大86MeVcm2/mgのときにSEL(Single Event Latchup)とSEB(Single Event Burnout)、SET(Single Event Transient)の発生なしを保証する。安全規格「DLA SMD 5962-18221」に準拠する。パッケージは、ハーメチック封止の28端子CDFP(Ceramic Dual Flatpack)。ダイの状態でも供給する。動作温度範囲は−55〜+125℃、動作接合部温度範囲は−55〜+150℃。すでに量産出荷を始めている。価格は明らかにしていない。