日本人工知能学会は2018年6月5~8日、鹿児島県で第32回全国大会を開催した。参加者は過去最多の2572名(速報値)。今回はスポンサー企業がAI技術の事例を紹介するインダストリアルセッションを4セッション設けた。前回より1セッション多く、より企業との連携を強めた大会となった。

初日の基調講演からほぼ満席
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 最上位のプラチナスポンサーは富士通、NEC、東芝、日本IBM、パナソニック、ディー・エヌ・エー、LINEなど34社。資金を提供するスポンサー企業は会場にブースを出展するほか、自ら発表の場に立つことで、AI技術に精通した人材に自社をアピールし、リクルーティングにつなげる狙いがある。5~6日に実施されたインダストリアルセッションから、興味深い発表を紹介しよう。

名刺のデータ化に深層学習を適用

 名刺管理アプリを提供するSansanは、名刺画像のデータ化に深層学習を適用する事例を紹介した。

 名刺はレイアウトやフォントが企業ごとにバラバラで、認識の難度は高い。従来は、まず名刺データにある矩形(長方形)のオブジェクトを検出した上で、OCR(光学文字認識)にかけ、得られたテキストからオブジェクトの属性(会社名、名前、住所などの項目)を判定していた。だが、属性が分からない段階でOCRをかけると精度を高めにくく、特に多言語対応が難しい問題があった。

 そこで同社は、名刺画像を入力すると、オブジェクトの位置と属性を出力する深層学習モデルを開発した。

会社名、住所の位置をそれぞれヒートマップで表示
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 属性が分かれば、専用のOCRや辞書を適用するなどして精度を高めやすくなる。幸い同社は、これまでOCRと人力で集めた名刺データを大量に保有しており、これを学習用データセットに使ったという。

皿の位置を深層学習で検出し、CGを投影

 チームラボは、同社が銀座のレストランと組んで2017年春に制作した食空間「MoonFlower Sagaya Ginza, Art by teamLab」に使った深層学習を紹介した。

日本の四季を感じながら新しい食事体験を楽しめる
(出所:チームラボ)
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 この食空間は、料理や皿、テーブルにプロジェクションマッピングでCGを重ねて表示したもの。料理や皿の位置をリアルタイムに認識し、皿の上にCGを重ねることで料理に独特の彩りを与える。

 この皿の検出は、AIのタスクとして意外に難しい。料理を食べ進めるウチに皿の見た目が変わってしまうことに加え、食事をする手が皿を隠してしまうためだ。

皿の位置検出と分類は意外に難しい
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 深層学習を適用する以前は、皿などの検出対象に反射素材でマーキングするか、あるいは逆にテーブルの天面全体を反射素材で覆う、などの方法で物体を検出していた。ただ「やはり細工を一際せずにできた方が、運用的にも見栄え的にも良い」(チームラボ)ということで、深層学習を使った皿の検出に挑んだ。

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